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2-3

 ジャックは広間を出ると、入り口の岩戸を吊るしている鎖に銃を発砲し、入り口を封鎖した。


(ちょっとでもあいつを足止め出来たらいいけど……)


 広くない通路を、大剣を抱きしめて駆けていくシエルは案の定トロい。

 ジャックは打ち身や切り傷で痛む足に鞭打って全力で彼女を追う。シエルが足音に気づき、怯えたように後ろを振り返った。

 さっきはニヤリと笑っていたが、完全に強がりだったのだろう。

 内心相当怖がっているのだろう。


「ジャ、ジャックさん……」


「止まらず走れ!何秒足止め出来るか分からない!」


「はいっ!」


「あれは一体何者なんだ!?」


「あれは、古代の王です。この地一帯を支配していました。魔術師達は大剣を封印するために昔12の呪印からなる結界を考案して、この地を守っていたんですが、昨日その結界が解けてしまってました。おそらくその間に古代王は剣の力を借りて実体化したんじゃないかと思います!」


 苦しそうにシエルは説明してくれた。

 ジャックは最悪なタイミングでローズウォールを訪れてしまったらしい。


 2人の後方で凄まじい破壊音が響いた。

 石戸が破られたのだ。


「全然足止め出来てねぇ!」


「そんなぁ……」


 ジャックはシエルに追いつくと、手に持っていた篝火を投げ捨て、シエルの腕から大剣を受け取る。重い物がない方が走りやすいだろう。


 だが、だんだんシエルはジャックから遅れをとっていく。


 ジャックは焦って後ろを振り返ると、シエルの後ろに、槍を構えた男の姿が見えた。

 槍の先に光が宿っている。

 あれが解き放たれればシエルの命が危ない。


「伏せろ!」


 ジャックは叫んで後方に飛ぶと、シエルを抱きしめ、自分が下になるように転がる。

 その瞬間、頭上を光の筋が凄い速さで通りすぎ、やや遠くから石を破壊したような轟音が響いた。攻撃を避けたことで気が緩み、つい両手に力が入ってしまった。


 シャキン


 ジャックの手元で涼やかな音が鳴った。


「引き抜いたな!」


 男の勝ち誇った様な笑い声が通路に響いた。


 ジャックの手に握られているのは大剣だ。それを引き抜いてしまったのだ。


 ビリリと両腕が痺れるような感覚がした。


「……っ!」



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