表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/10

Nostalgic place

 少々長めとなります!


 彼女との約束の日。主人公は一体どこへ向かうのか?



 宜しくお願いします!


 目覚めの時も過ぎ、普段よりも速い時間に家を出る。


 家の最寄り駅までは自転車で林道を駆けていく。



 鳥の囀ずりや林のざわめき、風の音色が歓迎会を催しているようだ。


 目まぐるしいほどの日光は林に遮られて眩しく感じないほど。


 本日は青天の霹靂ならぬ、雲ひとつ無い永遠に続く青空。



「っし!」



 掛け声と共にペダルを踏み込むと、狭まっていた視界も徐々に開く。


 緑で覆い尽くされた迷宮の出口。



 俺はようやく林道を抜けたようだった。







 今日は現地集合で彼女と落ち合うことになっている。前回訪れた山奥の神社とは方向が真反対のこの場所。


 とある駅の改札前。だが改札から出れば、そこは異世界に繋がるような音の響きと人混み。


 山地ではなく、ここは湾岸に面した巨大なテーマパークである。



 俺は改札で彼女の来訪の出迎えをするため、集合時間30分前に到着していた。


 今日初めて着した腕時計を眺め、



「っと、まだ時間に余裕があるな」



 周りの人混みに目を向ける。


 あの四人組は家族だろうか、あそこにいる二人組は付き合っているのだろうか。


 そんな前日のような(フードコートの談話)周囲の記憶を呼び覚ます。



「………………ねえ」



 俺の不甲斐なさに横槍を入れてくれた彼も思い出されるが、



「…………ねえってば」



 今はあの時とは違う……



「おーーい、聞こえてますかーー?」


「うるさいな……そんな近い距離だったら誰だって聞こえるだろ…………ってもういたのかよ!」



 改札から出てくる人の群れから目線をそらすと、そこには艶やかな長い黒髪を頭の後で束ねた美少女。まるで白いベールに包まれたような格好。いや実際にベールを着ていた……



「その格好でここまで来たのかよ……」



 なんというか、事情を知っていればいいものの一般人からしてみればただの痛い人である。



「まあねー。だってこれ可愛いじゃん?だから着なきゃいけないような使命を請け負った気がしたんだよ」


「着るものは自分次第だしな。良いんじゃないか?…………でも待てよ。あの時買った服はどうしたんだよ」



 あの時――今日ここに訪れようと決めた日。俺は確かにショッピングに行った。(5話見てねー)


 この日着ていく服を買うために。……だから今のこの俺の服装というのは新品同様なのである。



「ああ、あの服?あれは押し入れにしまったよ」



 天然なのか、計算の内なのか。彼女の傍若無人っぷりはいつまでも変わらない。



「おいおい…………」



 ただ、彼女はそんな他人の思考を読み解くような人柄ではない。


 そう信じている俺は無為な詮索は止め、



「まあいいや、とりあえず入るか?」


「行こうっ!」



 リズミカルに答えた彼女とともに途絶えることの無い人混みに混ざっていった。











「ぶわああああああ、づかれだあーー」



 小テーブルを中心にするようにして座る二人。


 一方がテーブルに突っ伏して、今も尚占拠している。



「疲れるの早すぎじゃないか?まだ半分も歩いてないぞ」



 ここで言う半分とはこのテーマパークの面積半分ということである。これ以上に類を見ないほど大規模なのは確かだが……



 半分というより、最早3分の1さえも届いていないのである。



「何か食べたいものはあるか?ちょうどレジも空いてきたし買ってくるよ」



 顔を伏せたまま右手を高々と挙げながら、



「じゃっ、アイスティー!」



 答えた彼女を残し、どこかで見た光景に溶け込むように俺は席を離れた。





 改めて、ここは毎度通う彼の喫茶店に似た休憩スペース。



 とどのつまり安心する場所に落ち着くのだろうか。俺と彼女はここを見つけた途端、疲れがどっと溢れてきてしまった。



 店の雰囲気や外装はあまり似通っていないがどことなく親近感が湧いてしまう。

 恐らく、店内に充満するクラシック音楽の音色のせいだろう。



 両手にコップを持ちながら席に戻る。彼女はすでに疲れをとったのだろうか。



「はい。アイスティー」


「ありがとう」



 俺は買ってきたアイスコーヒーを片手にし、口に含む。



「…………ねえ。もう気づいてるよね?」



 やはり彼女も同じだったようだ……



「そりゃあな。何度も行けば気づかないわけがない」


「ここに何度も来ているの?」



 目線は外さず見つめてきながら小首をかしげる彼女の姿。まさに反則的。



「…………からかうな」



 彼女に耐えきれなくなった俺は目線をそらすことしか出来ない。



「ごめんごめんーー」



 笑いながら答える姿により説得力が欠ける。


 しかし、それを補填するように彼女の表情は頑ななものとなっていた。



「ここは、()()()()()と似ているよね」


「そうだな」



 彼女と同じ思考、考え、感じていることを共感する。それは学校でもないこの場所でしか不可能なのだ。



 環境、空気、雰囲気、色々な要素が詰まって誕生する場所みたいなものだ。



「君と初めて会話した場所。会話するようになった場所」


「もう慣行みたいな感じだけどな」



 今度は俺が笑いながら答えるが、彼女の語り口は変わらない。



「でも、あの場所がなかったら。君と私の運命はまた違うものになったかもしれない」


「そこまで深く考えるのかよ!」



 俺の貴重な突っ込みをひらりとかわすこの人は、



「私にはそれだけの価値があったってこと」



 無言で押し黙ってしまう俺をよそに、



「ありがとね、今日誘ってくれて」



これまでにないような満面の笑みとともに、今日の締め括りとなる言葉を呟いた。



 読んでくださり誠に有難う御座います!!


 ここで終わり!?ってお思いになられた方。明日すぐに続きを公開しますので待っていてください。。。



 そしてようやくシリアス展開も終わりそうです。。


これからも応援宜しくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ