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そのなな
あれから…
家に戻り、飯を食べ、慣れない身体に戸惑いつつも風呂に入り…
「母さん、あのさ…一緒に寝てくれないかな?」
「いいけど…」
そう言って母さんは俺の目をじっと見る。
「相談ならちゃんと言ってね」
「え…何でわかったの?」
だって、ねぇ…
そう言って母さんは俺の頭を撫でる。
「…自分の子供の性別が変わろうと、それくらいわかるわよ。
それに、ボクって言わなくなったわね?
これからのことを考えて、不安になってるんじゃないの?
…圭織ならきっと大丈夫よ」
「…何で、そう言えるんだよ…
確かに、不安だよ。
幸一に会って、初めて冷静にこれからのことを考えてみて…分かったんだ。
身体は女の子で心は俺のまま…でも手術はしたくない。
女の子…圭一じゃなくて、
圭織としては生きて行く、それがどれだけ大変かって…」
「大丈夫。
だって自分で名前まで決めて、それだけの決心をしたんだもの…大丈夫」
そう言って母さんはぎゅっと俺を抱きしめた。
圭一が圭織になって長い1日が終わりました。
…長すぎたかな?