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輪廻、灯火、夢現
手を伸ばせば届きそうな、そんな距離に
見えた光はとても弱々しかった。
息を吹けば消えてしまう蝋燭の火の様な、
触れば簡単に崩れる砂の城の様な、
危ういバランスを保っている積み木の様な
何時割れてもおかしくない薄氷の様な、
そんな光に手を伸ばす。
そっと触れると波紋の様に揺らめいて、
ゆったりと指先にまとわりついた。
それは酷く儚くて、
そして酷く不確かで、
それでも確かに暖かだった。
凍りついた指先を溶かす様に、
固まり切った魂を解く様に、
光はゆっくりと溶けて、
この身体を包み込んだ。
海原でゆられる様に、
じわりと目を開ける。
そこから先は、「私」は知らない。
始まりを始める話。
廻る炎は夢のよう。