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ブロークン・レイニー
空から落ちる冷たい欠片が、
僕の心を叩き続ける。
暗く沈んだあの空は、
何時かの僕の心情の様に
この心に重たくのしかかる。
空から落ちる鋭い欠片が、
僕の身体を斬り付ける。
酷くぬかるんだこの地面は
あの日の僕の現実逃避の様に
この足に重たく絡み付く。
差す様な傘は無く、
着る様なレインコートも無い。
履く様な長靴も無ければ、
逃げ込む様な木陰も無い。
これは『報い』と『誰か』が言った。
そして『当然』と『誰か』が言った。
逃げ続けた代償は、
これ以上ない当たり前の結果だった。
目の前に転がる『彼女』を見つめる。
そこには鮮やかな水溜り。
どんなに泣いても喚いても、
『彼女』は二度と動かない。
自分の上げた叫び声は、
『誰か』と同じ声だった。
それに構わず『誰か』は続ける。
『これで終りだと思ってるのか?』
僕の視界は、
無色透明な欠片に埋め尽くされた。
雨の日の話。
後悔先に立たず。