第四十五の問い「不安な関係?」4
その時。背後から肩を乱暴に叩かれた。痛い。痛い痛い、痛い痛い痛い痛い……。
「痛いってばぁ!」
キレ気味に手を振りほどくと、背後には黒い服を着た男性。闇夜に一体化しているが、レイだとわかる。…………って、レイッ!?
「な、何しに来たのよ……」
「何しにって……。ウォンチさん振り払ってきたんだよ、なんか文句あるか」
「文句って……」
ウォンチさんはいいの、と聞こうとして途中で止めた。レイが踵を返して会場に――ウォンチさんのところに戻ってしまうのが怖い。なんて女々しいやつだったんだ、あたし。
その時、空気を読まない奴が口をはさむ。
「レイ……ウォンチさんはいいのかよ」
おいおいおい待てや空気読め貴様ーっ!!
さらりと口に出したソウシに、あたしはこれ以上ないというほどに睨みつけた。その視線に気が付いたソウシが、額に冷や汗をうかばせる。
「れ、レイ、さっきの言葉は気にするな、幻聴だ」
「は? っていうか、ウォンチさんよりこいつのほうが大事だろ」
こいつ、何を恥ずかしいことをあっさりと……。たぶん友達としてのという意味なんだと思うけど、あたしの顔は赤を通り越しそうな色になる。にしても、こいつのそんなきゅんとくる台詞が聞けるなんて……。
ソウシ、ぐっじょぶ。
感激しながらソウシに親指を突き出すあたしに、不審な目を向けるレイ。
「……ウォンチさんのことは分かった……でもレイ、俺らは大切な話してるんだよ、戻ってくれねぇか?」
「お前の意見なんかどうでもいい。俺はこいつと話がしたい。それがまっとうな理由になると思うんだが?」
「ならないな。とにかく、イイから戻ってくれ……」
ぐい、とレイの背中を椅子ソウシ。
その時、あたしの体はなぜか反射的に動いていた。
「レイ、戻ろう。ごめんソウシ、またあとで」
レイの腕を取って会場に戻るあたしは、すりむきざまにソウシに謝る。隣でレイがきょとんとしたように、あんぐりと口を開けてあたしに腕の引かれるまま、会場に戻る。
「……じゃあ保崎、十分後だ。十分後に聞かせてくれ」
あたしは無言でこくりと首を傾けると、すたすたと会場に歩く。
「…………そこまでしてまで聞きたくないんだけどな、あいつのそんな返事……」
ソウシのつぶやきは、あたしに届かないまま、夜空に消えて行った。




