第四十五の問い「不安な関係?」3
「…………おい、お前離せ」
「…………レイは練習で保崎とたっぷり踊っただろ。そっちこそ離せ」
「…………いたいいたい、はーなーしーてー」
「レイ様、こんなちんちくりんよりあたしと踊りましょうよ」
……きらびやかなシャンデリアが照らす、壮大なパーティー会場で、なんだか嫌な空気の四人。もちろん完璧に浮いています。
一人はあたし、二人目はレイ、三人目はソウシ、四人目はウォンチさん……。
って、なんだこの四角関係っ!
「……はあ……あたし、もういいや……外出てくるね」
あたしたちの周りの人がざわつき始めたので、あたしは一抜け。こんな目立つ集団の中心にいるなんて、どんな噂立つかわからん。
するりと二人の間を抜け、あたしは会場の出口に向かって早歩き。
「おい、保崎――」
「レイ様はあたしと踊りましょう」
「保崎」
レイは駆け出そうとしたところをウォンチさんにつかまれる。その横をソウシが駆けてくる。
……また目立ってしまう……。
「……ソウシ、いいよ。風に当たるだけだし」
ドアのところで、あたしはソウシにつかまれた。
……今日、腕をつかまれまくってるなー……。いいことじゃないんだけどね。
「風に当たるって……外は寒いぞ? 薄着のお前じゃ風邪引く」
そういって、あたしの腕を引っ張り会場に連れて行こうとする。……そこは自分の上着を着せてあげるもんじゃないの……?
あたしが足を地面にびっちりとつけ、踏ん張っていると、不意に、ソウシの引っ張る力が抜けた。思わずよろけると、そこをすかさずソウシがキャッチ。
「……っぶねー……何やってんの?」
「って、あんたがいきなり腕離したからでしょ!? いきなりなんだよぅ!」
「いや、だって会場に戻ったらレイと踊ることになるのかなぁって」
眉を顰め、忌々しそうな顔で握り拳を作るソウシ。どんだけ嫌なんだ。
すると、ふいに何かを思い出したのか、ソウシが切り出してきた。
「そういえば、告白の返事は――」
げげぇっ、思い出された!
心の中で舌をだし、苦い汁を飲んだような顔になる。
「…………ああ、そういえばー」
「……決まった、か?」
ソウシがぎっ、と手を強く握る。顔は真剣で、つい何日か前まで女装をしていたなんて思えないほどだ。
……どうしよう……。ここで「ゴメン、決まってないんだー」なんて言えるほど悪女(?)じゃないし、っていうかこんな真剣になってくれる人にそんなこと言えるかって話になってくるよ。……それ以前にあたし返事きまってねェ!
とりあえず、「友達から始めましょう」が妥当かな……? いや、友達のステップを置いてからの告白だよね……じゃあ「とりあえず、はい」にしておくか……? でもなんだか悪いな……あたしのレベルなんかでそんなたぶらかすような台詞、言えないし……。でも「ゴメン」とも言いにくい……。どうしよう……。
困ったようなあたしの顔を見て、ソウシがあわてて付け足した。
「わわ、決まってないならいいんだ。僕も無理に決めろとは言わないし。……会場に戻ろうか」
愛想笑いを浮かべてあたしの手を引くソウシ。手にはうっすら汗が浮かんでいて、あたしの返事を聞くのに相当緊張していたのがわかる。
なので、思わず怒鳴ってしまった。
「……待って! 決まってる!!」
「…………え………………?」
……はっ、つい!
待てよ、どうしようどうしよう……。とにかく、何とかこの場は考える時間を確保しよう。
「ほ、星がきれいだね~」
「曇ってないか……?」
「か、風が気持ちいいね~」
「吹いてなくないか?」
「お、おなかがすいてきたな~」
「さっきまであんなに食っといてか?」
全敗。
ソウシのやろう……あたしの返事を聞きたいのか違うのか、はっきりしろっツーの。……まあ、あたしがここまで先延ばしにしたのもダメなんだし、あとで後悔するかもしれないけど、とりあえず付き合ってみようかな……。
「ソウシ、あたし、ソウシと、つき、あ」