第四十五の問い「不安な関係?」1
……前回までのあらすじ。
「えーっと、異世界に召喚されちゃったあたし、秀名は、この世界に戸惑いながらも、レイにときめいていたの……でも、そんなとき行き成りソウシが『君が、好きだ』なんて言われちゃって、それから三日間彼を避け続けてしまったの……それから舞踏会が始まり、ソウシと踊ってほしいっていう女性が現れて……なんだか彼のことばっかり考えてしまう……これってまさか、恋……?」
…………。
「シェル君……? バカなことやっていないで、誰かと踊っていたら?」
「……ちぇ。面白くないやつ」
唇をとがらせて、あたしの背後から頭の後ろで手を組んだシェル君が出てきた。
隣にはうっすら苦笑いを浮かべているアシルさん。
「これくらいのこと言っておかないと、誰でも振り向いてくれないよ? 少なくとも一人称の使いまわしはしなよ」
いやいや、そんな器用なことできませんって。と、反論しようと思ったら、シェル君は足早に去って行った。それからしばらくして、優雅な女性にダンスを誘われたアシルさんが、天然ないい笑顔を向けながらその場を離れた。
……また一人か……。
「あれ? 秀名ちゃん一人?」
からかうような声がして、あたしはムッとしながら後ろを振り向いた。
きらびやかな白スーツでまじめさのかけらもない男性。それはもちろんクロードなわけで。
「一人ですが何か? 別に関係ないじゃん、ほおっておいてよ」
「無理だよ。このパーティーは秀名ちゃんの歓迎会も兼ねてるんだから。秀名ちゃんが楽しんでくれないと、このお料理も、優雅な音楽も、きらびやかなそのドレスも、ぜーんぶ無駄になっちゃうんだよ」
……そ、それはまた困ります……。
じゃあ楽しむか、と思ってお皿を近くのテーブルに置いたとたん、ぐい、とクロードに手を引かれた。
「……え? あたし踊るなんて言ってない」
「また誰かの靴踏むかもしれないじゃん? なら僕と踊ったほうがいいかもよ?」
……むう、それもそうだ……。
仕方がないのでクロードのステップに合わせて踊る。足元はおぼつくけど、なかなか様になっているんじゃないかと思う。
「……惜しいところ言ってるんだけどなぁー。まだまだだねー」
……こいつの評価なんて知らないし。
ふてくされてそっぽを向くと、ぐい、と手を引っ張られた。そのまま曲は続いているのに、会場の隅に追いやられた。
不安の混じった眼であたりを見ると、お似合いなカップルを発見した。
いつものメイド服からは考えられないほどのきらびやかなドレスが似合う女性。その人と踊るのは豪華なシャンデリアの光も、当てるのをためらってしまう漆黒の髪と、同じ色のタキシードを着た男性。
「……こんな状況でもレイたちを見てるんだ」
お互いの息がかかるような至近距離で、クロードがささやく。ソウシの時のような緊張感はなくて、ただ、なんだか密閉感と、恐怖しかない。
「……関係ないし」
「ソウシもそうやってたぶらかしたの? 君に色仕掛けができるなんて意外だな」
「はっ!? 色仕掛け? 何それ、ありえない。あたしがなんでそんなことしなきゃいけないのよ」
「それは、君がこの世界のプレイヤーだから。あくまでも君は僕たちを攻略するプレイヤーで、僕たちは君に攻略されるキャラクターでしかない。僕たちの意思なんてお構いなしに、ただただ攻略しているだけでしょ」
ぐい、と肩にかかっている手の力が強くなった。痛みに顔をしかめる。
反論できないのはなぜだろう。この世界で、レイに何か初めての感情を持って、自分なりに成長してきたはず。
「ソウシはどうなるんだよ」
クロードのブラウンの瞳に、あたしが写った。
初の「Q、何々」がないパターンです^^;
最近何でもアリになってきました←
そしてまたもや四十五の問いが続く
何回続くんでしょうか……(遠い目)




