第三十八の問い「この胸の鼓動は……? って乙女なこというかぁ!」
目の前にはなぜか言い争っているソウシとレイ。
その隣にはニコニコ笑っているクロード。
そしてその隣にはあたしを鬼の形相で睨んでくるウォンチさん。
ああ、なんでこんなことになったんだ……。
さかのぼると、長くなる――。
数分前。
「さあ、練習練習。それじゃあ、女、もしくは男慣れしてなさそうなレイとソウシと秀名ちゃん」
「女慣れしているのか、お前は」
「僕は十分女パートでも完璧に踊れたしぃ……」
「男慣れすら人なれもしてないよ、あたし」
すると、クロードはあたしたちの反応に大きなため息。
「な、なんだよ……!」
レイの怒りマーク付きの反論に、クロードは何でもないよという風に手を左右に振る。
「別に……君たちの恋愛経験はよぉく分かった」
なんだかわかっているようなクロードに、あたしたちはまた反論――。
しようと思ったけど、ウォンチさんに先を越される。
「あたしは今恋愛していますからね」
「レイでしょ」
「レイだね」
「レイレイ」
「俺?」
一人、何もわかっていないようなレイ。
それでもなぜかウォンチさんは先端がハートの矢に射抜かれたご様子。ぐはっ、と言いながら背後にのけぞり、吐血。
「とっ、吐血!?」
目の前にて吐かれた赤い液体にビビるあたし。
すると、ソウシが盛大に笑ってくる。
「あはは、あんた、いい、意外と臆病なんだなー」
ロボットのようなカタカタという効果音が付きそうなほどカタカタなソウシの様子。
……ビビってんだろ……。
「いや、そんなことはない………………やっぱむりだぁぁぁっ!」
急に抱き着いてきたソウシ。
あたしも怖かったので、遠慮なく抱きつく。
「…………むぁっ!?」
抱き着かれてびっくりしたのか、ソウシの鼻から大量な鼻血。
え!? なに!?
「古典的だなー」
「そうだな」
「な、何二人してわかっちゃってるみたいな感じ!? ちょ、どかしてこれ! ジャージにつく! じゃーじにぃぃぃーーーーっ!」
「ほらほら落ち着いて秀名ちゃん。ソウシ、胸を抑えて、『こっ、この胸の鼓動は……?』って言わなきゃダメだよ」
すると、ソウシがあたしからぱっと離れ、
「こっ、この胸の鼓動は……?」
おお、言った!?
「って乙女なこと言うかぁ!」
……何今回のサブタイトル! ってぐだぐだだな、この回!