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第三十五の問い「恋敵って、あたしが……? ですかぁっ!?」

「……にしても、どうしたの? なんだか今までとは違う雰囲気の悪さだよ。どうしちゃったの?」

「別に。お前には関係ない」


 そっけなく言ったレイにあたしが「なーんーでー!?」と連発すると、


「うーん、これは僕とお兄様の問題だけど、君にも関係あるようなでもないようなやっぱりあるかもしれないけどそれは嘘かもしれなくてっていうか嘘ででもそれは本当で嘘かもしれないというのが嘘でそもそも僕は嘘をついていなくて君が勝手に……」


 つらつらと機械のように言うソウシを、あたしは止める。


「だぁーっ! もういいーっ! やめれーっ!」

「嘘だって決めつけるから僕はそれででも本当に嘘だからそれの反対とかなんてなくて……」

「ソウシ。もういいだろ……」


 げっそりとしたレイがソウシを止める。

 ほっとしてため息を吐いたら、屋敷にある大きな時計が三時を告げた。

 おやつの時間だ。


「と、とにかく何か食べて落ち着こう! ほら、三時だし!」


 かちゃりとドアの開くがしたので、あたしはドアに走って行った。

 今日はなんだろうなー……。


 べふっ!?


「…………」


 いきなり飛んできたパイ。

 オタクに運動神経なんか求めちゃいけないよ? もちろんよけきれずに顔にヒットしたからね。

 いつもなら大好きなクリームは豪華なドレスに模様を描き、さらには床、あたしの後ろにまで吹っ飛び、少し前にいたらレイとソウシにも被害が加わっていただろう……。


「ぱ、パイ投げ……?」


 半信半疑の口調で、レイが状況確認する。

 …………もうそれしか考えられないだろ……。


 ずるずるとクリームが下がってきたので、手で取って視界を開ける。

 メイドさんだ。


 おそらくパイが乗っていたであろう紙皿を片手に持ち、むんっと唇の端を下げた明るい色の髪を背中の中央までおろした、あたしより二、三歳年上の女性。


「……ワッツユアネーム……?」


 英語で聞いたあたしにツッコみもせずに、そのメイドさんは怒鳴った。


「あたしはウォンチ。あなたが保崎 秀名ね。レイ様に近づかないで!!」


 一方的に言って、メイドさん――いや、ウォンチさんは去って行った。



 Q、恋敵って、あたしが……? ですかぁ!?


 A、波乱の予感だよね……。



 とりあえず、残されたあたしはバスルームに急ぐ。

 走るとクリームが飛び散りそうだから、慎重に、歩いて、そろそろと……。


「……レイお兄様、ウォンチ、とは……?」

「さあ。聞いたことはあるが、実際に会う……? のはあれが初めてだ」


 困ったようにレイが首をひねったのを、あたしは不思議そうに見た。

 意外とモテるんだな……。


 …………っは、どうでもいいけどね! あたしには関係ない!!

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