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第四の問い「長男登場に、自信はつくのか?」

 Q、長男登場に、自信はつくのか?


 A、少し……いや、結構、無理。



「秀名ちゃん、よろしくね。僕は長男、そして第一王子のクロードだよ」


 にこりと手を差し出してくるのは、いかにもチャラそうな、男性。

 百七十はゆうに超えているであろう長身に、甘いマスク。茶色い長髪。

 ブラウンを基調とした、例の服を着ている。

 いい年して、兄弟そろって色違いの服を着ているのにツッコミたくなるが、そこはスルーしておこう。


「では、私はこれで」


 頭を下げるメイドさんに、「なりきってるー」と一声かけ、クロードさんは、見送る。

 あれ? あたしは遊び人だと思っていたけど、そうでもないのかも。だって、普通は手ぐらい握るキャラが多いのに。

 すると、あたしは今、自分が置かれている状況に頭が追いついた。

 目の前には、男の人。そして、妙に目が付くのは、フカフカなベッド。

 どんなに鈍感キャラでも、さすがにこれは気が付くだろう。

 その途端、混乱する頭。

 いや、待てよ!? あたしは女だが、ブスでもあるんだぞ!? 自分が一番わかっているじゃないか! ありえない、うん、ありえない。こいつ、いかにもメンクイそうだし。そうだそうだ、ないない、ないないないない。

 混乱してきたあたしの方を、ポンとたたくクロードさん。


「何々? 俺たち、どうすればいいの?」

「お、お話とかでしょう普通は! うん、そうですよお話しましょう!」


 あたしの熱が入った声に、クロードさんは首をかしげる。


「ベッドで?」

「違うだろぼけーっ! 初対面の人と話しやすいように椅子というものがあるんだろてめぇーっ! ひと段落飛ばすなバカぁーっ!」


 落ち着かないあたしの声に、ふっ、と笑うクロードさん。


「椅子、ね。その考えはなかったわー。俺、初対面の人でもゴーだから」

「それはお前だけだーっ!」


 ふう、なんか頭も冷えてきた……よし、落ち着こう私。

 ふらふらとおぼつかない足取りで、高価な椅子に近づく。


「お、お話しだね。よし、じゃあやりますか」


 にこりと笑う、クロード。

 あ、さんつけてないけど、まあいいか。



 Q、王子のハートをゲットし、ハーレムを作ることができるのか?


 A、この人苦手だから、無理かも……。



「俺の趣味はね」


 あたしに質問もしないで、さっさと話し始めるクロード。

 ああ、こいつヤダ……。


「女の子と遊ぶことー」


 爆弾投げてやろうか?

 とは言わずに、とりあえず笑っておいた。

 ひきつりだす顔。


「ん? なんか顔面崩壊しているけど、大丈夫かな?」


 ニコニコと、罪悪感の感じていなさそうな顔で笑う、クロード。

 うっぜぇぇー。

 あたしは後ろを向き、思いっきり顔面崩壊――いや、いやな顔をして、心の中のいろいろな感情を吐き出した。


「どうかしたの?」


 何も疑っていなさそうな、純粋な目。

 こいつ、何歳だよ。っていうか、女遊びが趣味なのに、なんでこいつ、こんな顔ができるわけ?


「いえ。失礼しました」


 あたしは笑って、背筋を伸ばす。


「ところで、好きなタイプとか、あるんですか?」


 あたしが聞くと、


「女の子全面」


 と、答えた。

 ぶ、ぶっ殺してぇーっ。


「女の子って、イイよね。かわいいし、守りたくなるし」


 あれ? こいつって、あたしが思っているのより、いいやつなのかも。

 そう思ったとたん、


「特に体」


 あたしはクロードに顔面パンチをお見舞いし、部屋を後にした。

 もはや、目的忘れる。

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