第三十二の問い「紅茶のお供にいかがでしょう?」
「コイバナなら聞かないよ?」
「違う」
クロードの部屋に、レイがやってきた。
彼の片手には菓子折り(?)のクッキーのカンだ。
「まあ、座ってよ。何の用かな?」
目の前の椅子を手で指され、レイは座る。
椅子とセットのテーブルにクッキーのカンを置き、隣に置いてあった紅茶のカップを上からのぞいてみる。
中身は入っていない。
「……飲みたい?」
「あ、まあ……」
「じゃあ、入れてくるね。そのお話は、『Q、紅茶のお供にいかがでしょう?』」
何もわかっていない様子のレイは、首をひねった。
Q、紅茶のお供にいかがでしょう?
A、あいつ、わかってないみたいだけど……。
こぽこぽと音を立ててカップに注がれる液体を見て、クロードが切り出す。
「で? 何の用? レイが自分から訪ねてくるなんて珍しいね。僕がレイの部屋に行くのはよくあるけど」
「押しかけているだけですよね」
「まあまあ」
紅茶がカップにすべて注がれたので、クロードがレイのほうに差し出す。
「ありがとうございます」
湯気を立てている紅茶の熱さにすこしビビりながらも、一口飲む。
ストレートの紅茶はあまり飲んでいなかったが、ミルクを入れるよりもおいしいと思った。
「それで、そろそろ話し始めてほしいなぁー。ことごとくスルーされてるからー」
自分もカップを持ったクロードが、にこりとしていう。
「あ……コイバナ……? 的な話ですが」
最初に断られた話題だったので控えめに言うと、以外にもクロードは笑顔で聞く体勢に入った。
「保崎秀名……って、どうやったら攻略できると思いますか?」
「知らなーい」
そっけない態度で返されたので、レイは思わず紅茶を吹き出した。
「……えっ!? お兄様のことだから、『ああ、いいよー。まずは夜を一緒に過ごそうね』くらいは言われる覚悟だったんですけど……」
「言われたら君はどうする気だったんだよ……っていうか、僕はそこまで協力しないよ。自分で考えなさーい」
そっけない態度のクロードに、レイは上目づかいで聞く。
「ど、どうしてですか……?」
「まあ、ぼくもシェル君に協力者になろうと相談したけどね。そこまで協力はしない。僕がする範囲は、恋文を渡したり、偶然を装い二人を合わせるくらいだよ。そこら辺の境界線、わかってる?」
問いかけたクロードに、レイはふるふると首を振った。
どうやら、彼にはまだ早い話だったらしい。
「……経験値、君低いんだったよね……」
ため息をついたクロードの紅茶に、レイは慌てておかわりを注いだ。
最近、兄のせいでPCの使用時間が三十分~一時間になっています><
なので、更新はまばらになると思います;;