第三十一の問い「協力者(?)の存在明らかに……?」
「おっにいさま」
語尾に星がついてもおかしくない言葉を発したのは、シェル。
そしてその顔はレイのほうに向いている。
「なんだ」
つんつんとした言葉を返すと、つれないなぁ、と唇を尖らせるシェル。
「まあいいや。お兄様、保崎――」
まだ言葉の先はあるのに。レイはシェルの口を押えた。
思わぬ反応に、びっくりするシェル。
「なっ、なんですかお兄様!」
「あまりこんなところであいつの名前を出すな!」
「こんなところって、廊下ですけど」
「廊下でも誰かが聞くことはありうるんだよ」
ははーん、と笑うシェル。
「そんなに聞かれたくないんですか? あいつのこと」
「いや、ちちち、違う!」
もうばれてますけど、というと、意外にあっさりレイは折れた。
「……で? お前は俺に何がしたい」
横を向き、顔を赤くして言うシェルは懐から何かをとしだす。
それに気が付いたレイは、思わず言う。
「おい待て。何を取り出そうとしている」
「え? カメラですけど」
そういいつつ慣れた手つきでカメラを取り出す。
慣れている手つき、ということはこれが初めてではないらしい。
「なぜ……なぜカメラ……」
もう答えはほぼわかっているが、一応聞いてみる。
「いや? お兄様のそんな恥ずかしがっている顔、女性にはもちろん男性にも言い値で売れるかなぁー? と思ったものなので」
「男性にも売れるってなんだぁぁぁ!」
とりあえず叫んで、カメラを没収しようとする。
しかし。悪事的にはシェルのほうが一枚上手だ。するりするりと攻撃をかわされ、ついにはシャッターを――。
かしゃり。
切られた。
「……売れますね、売れますこれ!」
取れた画像を確認し、さらには画面をレイに向けどうかと聞いてくる。
「売れなくていい! 消去しろ!」
「だぁ、もうとらないでください! これ結構高かったんですから!」
またもや伸ばした手をするりとかわされる。
すると、シェルが「じゃあ、」と切り出してきた。
「保崎秀名攻略を手伝いますから、売らしてください」
「だめにきまっているだろぉぉぉ!」
即答されたので、シェルはちぇ、と舌打ち。
「まあ、本人の同意なしでも手伝いますし、この写真だって売りますがねー」
「さっきの約束意味なしかよ!」
走り出したシェルを追いかけ、レイはツッコんだ。
Q、協力者(?)の存在明らかに……?
A、本人は嫌がってたけどね。