表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/66

第二十七の問い「まさか、惚れられたか……?」

「……ったく、追い出すなんてひどいよね。うん、ひどい。さすが冷血人間。っていうか誰かに愚痴りたいー! 誰かー!」


 悲観的な声を上げながら、あたしは廊下を歩いています。

 あのメイドさんには見つかって、みっちりお説教されたよ! レイのせいだ!

 とにかく、風邪が治ったので、イライラしながら廊下を歩いています……!


「誰か……あたしの知り合い……!」


 その時。


「あ、秀名さん。こんにちはー!」


 語尾にオンプが付きそうな言葉を発してくる、ブロンドのツインテールメイド。

 こいつは、ミルさん――! あたしがくっつけてやった、もっとも爆発してほしいリア充だ。

 いいカモを見つけた、と表情(かお)に出してしまった。


「……そ、それでは失礼します」


 お辞儀をし、すぐにその場を立ち去ろうとするミルさん。

 その手をがしりとつかみ、あたしは彼女の口を押えながら自分の部屋に引きずり込んだ。


 ☆ ☆ ☆



「それって、惚れられたんじゃないですかー?」


 嫌がっていたミルさんだが、さっきまでの態度が嘘のように楽しんでいる。

 にしても……惚れられたって……ッ!!?


「言葉通りですよ。惚れられたんじゃないですか? って」

「でも、あいつはいつも通りに毒を吐いて、部屋から追い出したんだよ? 好きな女性(ヒト)に行う行為とは思えない」

「照れ隠しってやつですよー。オトコゴコロって複雑怪奇ですしー」


 あたしの反応を見て面白がったのか、にやりと意地の悪そうな笑みを浮かべて、ミルさんが言う。


「で……でも……」

「もう、いいんじゃないですか? 好きってことでー。で? 秀名さんはどうなんですか?」


 顔を近づけてきたミルさん。

 きれいなブロンズの髪が、さらりと揺れる。


「あ…………たし……?」

「そうですよー! 秀名さんはレイ様のこと、どう思っているんですかー?」


 あたしがレイのこと……ッ!?

 うーん、頭の中に流れるのは、今までに言われた悪口集。


『お前にドレスなんか、もったいないな。豚の着ぐるみでもよかったんだぞ? お似合いで』――


『論外だ、論外。早く帰れ』――


『それ以上太ると、屋敷が崩れそうだからな』――


「論外ですよぉぉっ!」

「わわ、どうしました?」


 惚れるのも、惚れられるのも論外!


「ないないない、絶対ないです!」


 首を振ったあたしに、びっくりしたミルさん。


「え……本当にないんですか……?」

「うん! 断言する! あたしとあいつに恋愛感情など生まれないと――!」



 Q、まさか、惚れられたか……?


 A、ないないないないないない!!!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ