第二十の問い「三角関係はお嫌いですか?」 2
「んじゃあ、ランドさん誘拐していきますねー!」
がし。
ランドさんの腕をつかみ、連れ去ろうとする。
が、殴られたり蹴らりたりと、強烈な抵抗をされる。
「…………何してるんですか……?」
あまりにてこずるあたしに、心配したジェル君が聞く。
「大丈夫さ!」
きらりと歯を光らせかっこよく言って、ランドさんの足を払う。
予想外のことだったのか、バランスを崩したランドさん。
その隙に、あたしは引きずって、拉致を成功させた。
☆ ☆ ☆
「っ、なんですか、保崎さん! ランドは、やましいことはばれていません!」
「ちょっとカミングアウトしたよね」
ぐ、と言葉を詰まらせる。
「そ、そんなに、アシル様のおやつを食べたこと、重要なんですか……?」
小っちゃいな!
「そんなことじゃなくて。ランドさん、アシルさんの告白、断ったよね」
あたしが聞くと、す、とランドさんの顔から表情が消える。
「ランドさん、思いの人、とかいるの?」
「いません」
機械的な声が響く。
「ふーん」
「いません。いないです。いないったらいません!」
ムキになるランドさん。
赤面しているから、きっといるのだろう。
うん、恋する乙女はかわいい。
「えー? 言わなかったら、アシルさんのおやつ、食べたこと言っちゃうけど、いいのかなぁ~?」
「別にかまいません。仕方のないことです」
「えーっと、何だっけ、あのメイドさん――そうだ、ミセス・ディガーに言っちゃうぞ」
ぐ、ど黙り込んだランドさんに、とどめの一言。
「ちょぉー怒られるだろうなー。『ラルーっっっ!!!!』みたいな?」
怖い顔でランドさんの名前を呼ぶと、効果てきめんだったようだ。
「うっ…………い、言いますから、誰にも告げ口しないでくださいよ……? 好きな人のこともそうですからね」
仕方がない、とでもいう風にため息をつく。
それから数秒後、覚悟が決まったのか、顔を上げる。
「で? 誰――?」
「…………その、ジェル様です……………………」
言っちゃったー、と顔を隠すランドさん。
「……………………ええええええぇぇぇぇっっっっ!!!???」
あたしの怒鳴り声は、屋敷中によく響いた。
Q、三角関係はお嫌いですか?
A、いや、ゲームの中とかでは好きなんだけどっ……。
「ぇぇっっっっ!!!???」
秀名の悲鳴と、
「くちゅっん!」
ジェルのかわいらしいはくしょんが、見事に重なったのは、後日、わかったことだ。