第十九の問い「何故、女性が嫌いなのですか?」
アシルさんから離れて、数歩歩いたとき。
あたしは、重大なことに気が付いた。
こっちも、逆ハー作るチャンスじゃん!
そう、今はジェル君と二人きり。こんなチャンス、めったにないぞ!
と、言うわけで。
「ジェル君」
急に振り返ったあたしにビビりながらも、ジェル君は「はひっ!?」と返事。
「あのさぁ、いつから女の人、苦手なの?」
うん、まずはこのことを知るのが先だ。なんで嫌いかは、ただ単に、怖いだけだろう。前にも言ってたような記憶があるし。
「いつからって……十年ほど前ですかね?」
遠い目になったジェル君は、話してくれた。
Q、なぜ女性が嫌いなのですか?
A、……下を読んでね!
「小さいころ、ぼくはランドさんと一緒に、遊んでいた覚えがあります。それも、一度や二度ではなく、頻繁に。その時はまだ、女性恐怖症ではありませんでした。
そんなある日です。ランドさんが急に、何かを僕の目の前に見せてきたんです。
それは――、それは――、」
涙声で話すジェル君を見て、あたしもごくりとつばを飲み込む。
「それは――?」
「それは、蛇の抜け殻なんですぅぅーーーーっ!!」
あああー、と泣き崩れるジェル君。きっと、過去のことを鮮明に思い出したのだろう。
でも、蛇の抜け殻なんて、あたしはびびらないし、触ることもできる。
――何が怖いのだろう…………?
「彼女はっ、僕が爬虫類全般的に無理なのを知って、見せて来たんですよぉーーーーっ! 計画犯罪です! 死刑にでもなれです! 最悪です! それから僕は、女性を見るたびに、ランドさんが持ってきた蛇の抜け殻を思い出すようになって――……怖くなったんです……」
な、なんでそこから女性嫌いになる!
「ランドさんが、同僚のメイドさんに話しまくったんですよ、そのことを! 僕は一時期、屋敷中の笑いものになって……女性の情報網は恐ろしいです!!」
そして、あたしの顔を見ると、
「へーーーーびーーーーーーっ!!!!」
「失敬な!! 死ね!」
あたしの顔を指さして悲鳴を上げたジェル君の足を踏みつけ、ふんと鼻を鳴らし、顔をそむける。
思わずしゃがんだジェル君は、うるうるの目でこちらを見て、
「最悪ですね!」
と怒鳴る。
「最悪なのはそっちだ! 乙女の顔を指さして、蛇だぁ!? 寝言は寝てからいいな! あと、ランドさんにだけ恐怖の感情を抱けよ!」
「いや、彼女は特に怖いですよ」
何のフォローだ!
「とにかく、こいつは女性嫌いを克服しないといけないみたいだよね……」
にやりと黒い笑みをしたあたしに、ジェル君はひいっ!? と顔を白くした。
「アシルさんのミッションに加え、ジェル君の女性嫌いも克服させないとね!」
ああ、やる気上がってきた!
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