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第十六の問い「攻略方法は、あるのか?」

「と、言うわけで、『ランドさんの好みを探ってみよう! の会』、第一回目の会議を始めます!」


 あたしの持ってきた黒板を呆れた顔で見ながら、アシルが手を上げる。


「質問でーす。そのとんでもないセンスの名前を何とかしてもらえないでしょうか……うぐっ!?」

「そんな質問は受け付けません」


 額に飛んできた黄色いチョークを拾い上げ、アシルが涙声で反論しようとしたが、あたしがチョークを構えたので、黙り込んだ。


「で? 意中の人の好きなものとか、知らないの?」

「知らないよ。無防備にそんなこと聞いて、僕が好意を持っていると気づかれたらダメじゃないか」

「なんで?」

「メイドとの恋は、あまり普及されていないからね。むしろ、メイドのほうは遺産目当てだと思われがちだから、反対されるに決まっているし、最低、メイドは屋敷から出されるだろうね。それは阻止したい」


 真剣な瞳のアシルに、あたしはくすりと笑う。


「…………っ、な、何!?」


 驚いた表情をする。


「いや、本当に本気なんだな、って。いいね、そういう恋。あたしもしてみたいなー、って」


 そんな一言に、頭を撫でて返事をしたアシル。


「ハーレムの対象の中から、好きな人を見つけてみたら?」

「無理です!」


 がば、と頭を上げたあたしに、びっくりしたのか、後退するアシル。


「あんな奴ら、友達でも無理ですよ。って、話を戻しましょう! とにかく、ランドさんの好きなものを探りましょう!」


 慌てながらこぶしを上げたあたしに、やさしく微笑むアシルさんであった……。



 Q、攻略方法はあるのか?


 A、うーん、見つけてみたい!



「ラルー!」

「あ、いいところにいました保崎さん。かくまってください。ランドは今、追いかけられているのです」


 とりあえずランドさんのところに行こうと思って部屋を出たあたしは、スカートをうっとうしそうにしながら走る彼女に出会った。


「ラルー?」

「ランドの別の略し方です。ランドの名前は、ラルドイドですので。とにかく、この部屋に入れさせてください」


 答えを待たずに素早く入ってしまったランドさん。


「って、そこ、アシルさんの部屋ですけどっ!?」


 あたしは止めるが、鬼の形相で追いかけてくるおばあさんメイドをドアの向こうで見つけ、無理です、とでもいう風に指でバッテンを作る。

 仕方がないので、あたしもすばやく部屋に入る。

 そこには、顔を少し赤くしながらも、冷静を装っているアシルさんがいた。


「な、なんでここに!? どうしたんですか!?」

「昨日の鬱憤を他人に八つ当たりしようとしたレイ様に、暴言を吐いたのです。そうしたら、ミセス・ディカーが鬼の形相で追いかけてきたのです。お分かりですか、アシル様」

「わかりました……ちなみに、その暴言とは……?」

「『お前は同性愛者の弟による犠牲者の一人にでもなればいいのです』といいました」


 そ、それはあたしでも怒るぞ……?


「ど、ドンマイですね……。ところで、いつまでかくまえばよろしいのですか…………?」

「別にいいです。ジェル様でも脅して、どこか違うところにかくまってもらいます」


 そういって窓に足をかけたランドさんを、慌てて止める。


「ランドさんっ! ここ二階ですよっ!」

「二階ぐらいどうってことないのです。ランドならこのくらい骨折しないで飛び降りれます」


 淡々というランドさん。


「ダメですってー!」


 腰にしがみつくあたしを振り払って、ランドさんは窓から飛び降りました……。

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