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第33話 Long long ago

 快晴の汽車。その日ティグリスにある情報を提供するため私達はとある駅へと来ていた。といっても汽車に乗るのは初めてなのでいまいち説明しづらかったのだが。



 ◆ ◇ ◇



「私……実は200年前の人間なんです」



 雇い主であるティグリスにこう話すと一瞬怪訝な顔を見せた後こう語りかける。



「そうか、なら証拠を提示してほしいな」



 ここで働くための2つ目の条件。マルスに関する情報の提供。それについて今回話しをつける予定だったのだが……話し方が悪かったのかいまいち反応が悪いようだ。



「君ねえ、情報を受け渡したくないからって嘘はよくないよ?」


「いや、本当の事なんですって!」



 ユラが必死な顔で訴えかけるとティグリスがオッドアイの目で瞳を覗き込みある提案を持ちかける。



「うーん確かに嘘はついていないようだ」


「だからそうなんですって!」


「ただその言葉だけでは信用し難い……それならどうだろう?君の言う200年前の光景を探しに行くって言うのは」



 200年前の光景を探す。よく分からなかったが同意しないと上手く伝わらないようだ。そう思ったユラはティグリスの提案に乗り、ある場所へと向かう事にした。



 ◇ ◆ ◇



「これが汽車!?」



 彼女がそういうとティグリスが困惑した顔でこう述べる。



「君本当に知らないのかい?」


「……はい、実は乗った事もなくて……」



 自身が言った事は本当だと主張するとティグリスは再び瞳を覗き込もうとする。



「思ったんですが……」


「なんだい?」


「どうしてティグリスさんの瞳はオッドアイなんですか?」


「それは……」



 ティグリスが一言申そうとすると出発前の汽笛が鳴り響く。今聞く事ではなかったなと反省しているとティグリスと共に汽車の中へと入り込んだ。


 汽車の中はとても静かで心地の良い空間だった。ただ1人何をしていいか分からないユラがキョロキョロしていると、ティグリスは空いてる席に座ろうとする。



「君もこっちに座りなよ」



 言われたとおり向かいの席につくとすぐ横の窓際に明るくのどかな景色が映る。瞬時に変わる景色はユラにとっては新鮮なもので。ティグリスに話しかけられるまでうっとりと背景を眺めていた。



「そういえば君この瞳について話を聞こうとしていたね?」


「はい、綺麗なオッドアイだと思って」



 そう告げるとティグリスはふいに横を向いた後こっそりと隠すようにこう語り始めた。



「ダメだよ、ほかの乗客もいるんだから」


「ああ、プライベートの話ですもんね……すみません」


「まあそれもあるけど……魔力に関わる話だから」



 そういえば魔眼がどうのうとか言ってたなと1人ハッとするとすぐさま謝り口を隠すユラ。少し前に魔法を隠していると話していたのを思い出し、聞きたかった疑問を後にした。



 ◇ ◇ ◆



 目的であるモナの端につくとユラは研究所に捕らわれた話をした。



「研究所……ひょっとしたらこの辺りかもしれないな」



 そう言って持っていた地図を頼りに向かうとそこは既に平地になっていた。



「ユラ…………君が研究所で最後に見たのはなんだ?」



 最後に見た景色。それは自身の魔法で生み出した光の光景。そして自身が結晶の木に変わる瞬間だった。それについて事細かく正直に話すとティグリスは一瞬目を丸くし、かと思えば神妙な顔つきでこちらに語りかける。



「そうか…………ユラ、君はもしかしたら本当に200年前の人間なのかもしれない」



 やっと信じてもらえたという安心感を持ったのもつかの間。今度は逆に何故信用してもらえたか気になりティグリスに問いかける。



「どうしてそう思ったんですか?」


「…………ここは確か200年前に研究所があったと記録に残されている……ここで起きた事の詳細も全てね……だから逆に信じざるを得ない」



 その全てがユラの言っていたとおりに書かれているといいながら、持ち歩いていた書籍を眺めるティグリス。本当に書いてあるか覗き込もうとするが瞬時に閉ざされてしまう。



「まあ証明は済んだからさておき、ひとまず帰ろうか」


「えっ!もうですか!?」



 そうティグリスが述べるとまた駅のある方角へと向かって帰っていく始末。君とは長いビジネスパートナーになりそうだからねと話すとユラは何となく背筋が凍るような感覚がした。

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