第28話 逃げ腰の植物
その日は得意な体育の授業だったが……世間一般的な学校とは違う事をユラは改めて思い知る。
◆ ◇ ◇
待ちに待った得意科目。今日は体育の授業という事でユラはロッカー室で張り切って準備をしていた。
「ねえユラーいる?」
「あれ、ミオ?どうしたの?」
「今日の科目普通科の体育じゃなくて魔法科の体術になったの知ってる?」
初めての変更。こっそりきたミオリオから聞いた情報によると、マートル先生が急遽学校に帰ってきたとの事で。やる事はほぼ変わらないが、授業が変わるから体育着ではなくいつもの制服の方がいいという忠告を受けた。
「魔法科の体術かーどんな授業なの?」
「いやーなんか日によって違うから何とも言えないというかー」
「そ、そうなんだ」
ユラは着替えにいくの早いから念のために来てよかったと話すとその場を後にするミオリオ。ユラも急いで着替えると一旦教室へと戻っていった。
◇ ◆ ◇
「よう!久しぶりだな皆!……初めての生徒もいるが……よろしく頼むな!」
大きな声で話した人物は先程ミオリオが話していたマートルという名の先生だった。
「これから1人ずつ体術の訓練をしてもらう、指名された者は前に出るように!」
マートル先生がそう言うと指名されたブライアが先生の前に立ちはだかる。すると何をするのかと思えば先生対生徒で決闘のようなものを始めた。どうやら体術の授業とは一般で知る体育の授業とは違う形のものらしい。
1人また1人と時間制限を超える度に入れ替えられ、先生に蹴り等の攻撃を仕掛けてはバタバタと投げ倒される。あれだけ素早く倒されると痛くはないのかと心配していると今度はユラが指名された。
「え、えっと……」
「そう固くなるな……ああ最初だから念の為言っておくがここは特殊な結界が張られてるから、万が一大事になってもケガには至らないから安心してくれ!」
「分かりました……よ、よろしくお願いします!」
一礼しながらそう告げるとユラは皆と同様に攻撃の構えに入る。どう間合いを取るかイメージしながらマートル先生にキックをかますと、先生が腕で上手くかわしバランスを整える。
試行錯誤。多岐にわたる方法で同じように攻撃を仕掛けるが、何度やってもマートル先生の体勢が崩れる事はない。いかに体勢を崩させるか。そう考えながら戦闘に入ると今度はドリルのように回転しながら蹴りを入れる。するとイメージどおりに動く事ができ、ようやく体勢を崩させる事に成功した。
「ユラ、今の動きはよかったぞ!」
「ありがとうございます!」
こうして徐々にではあるが戦闘リズムを整えながら受けた体術授業。制限時間終了時まで身体を動かされ、思ったよりもきつい授業となった。ただ汗まみれにはなったがとても手応えを感じられる授業となりユラはどこかご満悦だった。




