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第27話 愚の頂点

 幾度も廊下に立たされた。そんな日中だった。



 ◆ ◇ ◇



「今日は魔力を整える授業を行う」



 クロノス先生が机を整えると、何やら中心にひし形の結晶が入れられた四角いケースのような物を取り出した。何か分からず不思議に思うと、ユラ含む生徒の元に同じ物が魔法で置かれる。



「これは魔力抑制機だ、これに魔力を注いで魔力を安定させる授業を行う」



 そう言って魔力抑制機を持つとクロノス先生がまずお手本を見せる。



「このように魔力を内側に集めるようにイメージするんだ」


「あの、先生!」


「どうしたブライア」


「この中に火とかの魔法入れるのはどうですか?」


「ダメだな、今回はそういうのではない」



 とにかく魔力を注げと先生が言うと、隣にいたミオリオがブライアを見てこう述べる。



「あいつ3バカだからなあ」


「3バカ?」


「そうそう属性3バカトリオって皆から馬鹿にされてるんだから」


「ふーん」



 あいつは火属性の魔法が好きだからすぐ使いたがるんだよねというミオリオをよそにユラは引き続き先生の話を聞く。



「では、各自行うように」



 開始の合図が鳴ると喋っていたミオリオも含め一斉に魔力を注ぐ。毎度コントロールの下手さに悩まされてるユラも苦悩しながら不安定な形でまとめる。だが案外すんなりとコントロールできており、いつもの授業よりもとてもご満悦な気分だった。



「あっれーユラ!結構コントロールできてるじゃん!」


「ほ、本当だ、すごいよ」


「えへへ、そうかなあ」



 シャンディ達が高らかに褒めるとますます鼻高々になるユラ。先程は抑えていた魔力の出力をもう少しあげたらどうなるか。ひょっとしたら上手くいくのでは?という好奇心に負け今度は壮大な魔力を注ぐと、みるみる魔力抑制機が青く光り膨張しながら破裂した。

 


「おい!大丈夫か!」



 割れる窓ガラス。生徒達の悲鳴とともにしまったという顔をしていると先生から叱咤を受ける。



「ユラ!またお前か!」


「す、すみません……」


「制服の防御魔法のおかげで全員ケガはなさそうだが……本当に危ないところだったんだからな!」



 クロノス先生がそう話すと、調子に乗ったユラを反省させるために通路へと立たせる。割れた窓ガラスは魔力操作が得意なエル辺りが直してくれたからいいものの……自身のせいで通路へ立たされユラはたった1人恥をかいた。



 ◇ ◆ ◇



 怒涛の混乱が起きた後の次の授業。今度は増殖の魔法の授業を行うとの事で。またクロノス先生がある物を配り始めた。



「今度は増殖魔法の訓練だ……と言っても増えるのは一時的だが…………まあ今回はこれを増やしてもらう」



 渡されたのは星型の飾り物。何の変哲もない。それは輝いてる訳でもなくただの無機質な置物だった。



「やり方は……まあ先程の授業と変わらずイメージして増やすだけだ……このようにな」



 先生がお手本を見せると星の飾りが1つから2つへと変化する。



「まあこんな感じだ……ユラ、お前は呪文を唱えるなよ」



 先程の授業の事もあり先生に釘を刺されると、ユラ含め全生徒が増殖魔法の訓練を行い始める。



「エルは別メニューだ、これをコピーし増殖させろ」


「げっ!」



 前方の席ではエルが別メニューと評され複雑な形の飾りを渡されていた。アレを増殖可能とみなされているのは魔力操作の優等生である彼1人だけなのかもしれない。



「…………うーん、どう?ユラ」


「いやーそれが全然上手くいかなくて……」



 対する自身達は増殖魔法が上手くいかず悩んでいた。ただ1人を除いては。



「増殖せよ!《ラグリマ》」



 ミオリオが唱えるとたちまち煙があがり、星の飾りが2つになる。



「へへっ!どう?」


「すごい!さすがミオ!」



 小さな拍手で彼女を称えるとえへんと口にするミオリオ。ミオも優等生だからなとシャンディが言うと、ミオリオがこっそりこう答えた。



「……ユラも呪文唱えちゃえば?案外できるようになるかもよ?」


「え、でもダメだって釘刺されたんだけど……」


「いいじゃんそれぐらいー先生も気にしすぎなのよ」



 そう話すと再び呪文を唱え、増殖魔法を成功させるミオリオ。確かに気にしすぎていたのかもしれない。自身にそう言い聞かせるとユラも同じようにイメージして呪文を唱え始めた。



「祝福ノ樹木!《アビエス・フェルマ》」



 すると1つだった星の飾りが徐々に増殖していくではないか。そう望んでいた光景に喜んでいたのもつかの間。星の飾りが水のように増えていき、とうとう天井近くまで数が達してしまった。



「ユラ!どこまで増殖させるつもりだ!」


「わ、分かりません!」


「お前人の忠告聞かずまた呪文唱えただろ!」


「す、すみません!」



 先生に再度叱咤されるとまた通路へと立たされる始末。溢れかえった飾りは先生達が除去してくれたからよかったものの……その光景を見てもう少し力の使い方に気をつけようと思うユラだった。

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