第25話 Repaired Ring
予定が立て込んだ週末。ユラはエルに頼みいつもの魔力操作の特訓をしていると、エルに対し悩みを持ちかける。
「この前の課外授業……大変だったよね……ケガとかなかった?」
「あ、ああまあ一応……」
「…………実はあの時大事な指輪を壊しちゃって…………どう直せばいいか困ってるの」
大事な指輪。それはティグリスからもらった魔力を安定させる指輪だった。壊れた指輪をエルに見せるとエルは怪訝そうな顔をしてこう言う。
「その指輪……僕なら直せるかもな」
「えっ本当?」
「…………貸してみろ」
エルにそっと指輪を託すとその指輪を右手の薬指にはめゆっくり修復させる。
「…………これでいいだろ?」
直された指輪を見るとそれはもう美しく綺麗で。まるで新品同様の輝きについうっとりとしてしまう。
「あ、ありがとう!」
ユラが礼を言うと何故かそっぽを向き気にするなと話すエル。全面の輝き。そう思いながら指輪を陽にかざすとキラキラと美しくきらめいた。
◆ ◇ ◇
その後ティグリスの元へ向かうとユラはいつもどおり魔力の提供を施す。
「今日もお疲れ様、今週も妙な事はなかったかい?」
「はい、まあ……ただ課外授業で困った事が起きて」
「困った事とは?」
ティグリスに問われると先日起きた大きな騒動について話す。
「それは…………おそらく君の魔力に反応しているのかもしれない」
「え、どうしてですか?」
「君は魔力量が多いからね……魔力が多い分狙われやすいという事さ」
そう話すと何故か真剣な顔つきでユラを見つめる彼。何故そのような顔をするのか。ユラがそう考えているとティグリスはある話を持ちかける。
「そういえばあの指輪はどうなったかな……ちゃんと持ち歩いてる?」
「はい!…………ただ一度壊れてしまって……先生に直してもらったのですが……」
先生。おかしい。私は確かに生徒と言ったはずだと。ユラがそう考えながら何度も訂正するが、言葉が直る事なく話が進み続ける。
「先生にね……確かに先生ならきっちり直してもらえるかもしれない」
「は、はいだから先生にお礼したんです」
「…………その指輪、ちょっと見せて」
先程からどうもおかしい。不可解に思っていたティグリスはユラに対しこう語りかける。
「はいどうぞ」
ユラが指輪をはめた薬指を見せるとティグリスはじっくりと様子を伺う。キラキラと光る何の変哲もない指輪。そう考えた次の瞬間、彼の脳裏からある単語が浮き出てくる。
(近寄るな)
警告のような何か。淡々と冷たい文字だった。反射的に驚いてしまったが、どうやらユラには見えていない様子で。普段どおりの彼女の姿に思わず肩をすくめてしまう。
「…………どうしたんですか?」
「…………いや、なんでも……今日はここまでにしようか」
そう言い残し踵を返すと何やら複雑な顔で物事を考えるティグリス。そんな彼をよそにユラは何事もなかったかのように学校へと帰っていった。




