第24話 置き去りの植木鉢
課外授業で置き去りにされたユラは、悲しくも淡い期待でその場を待っていた。
(ひょっとしたら……誰か……誰かが拾ってくれるかもしれない)
ユラは願うが残念な事にどこを見ても誰もくる気配がなく、ただ1人の植木の花として佇んでいた。
「あのーもしもしー!だれかー助けてください!!」
そう叫ぶものの辺りはシーンと静まり返る始末。生徒達全員が無事に帰ったのはいいもののもう少し自身の事を気にかけてほしいと嘆いた。
(もう誰もこないのかな……)
あきらめかけていたその時、植木鉢の花になったユラの元に1匹のゴブリンが現れる。
「なんだお前」
(え、えっと本当にきちゃった……)
そのゴブリンは敵意はないようだった。だがなんとなく興味を持たれたようで。拾った枝でつついて反応を見ようとする。
「おいお前ら、妙な花を見つけたぞ!」
何をするかと思えば今度は仲間を呼び、ユラを囲う始末。よほど興味を持たれたのか。今度は3人で囲いながらユラの植木鉢を枝でつつきまくった。
「あ、あの……やめてください……」
「おい、こいつ喋ったぞ!」
「すぐさまエルフの長に報告だ」
しまったと言葉を詰まらせたのもつかの間。口を滑らし話をしてしまったユラは抵抗できないまま移動させられ、エルフの長とやらの前に置き去りにされてしまう。
(ど、どうしよう……捕まってしまった感があるけど……)
先程魔物サクリファイスに対しての攻撃で魔力を使い果たしてしまい、喋る以外の魔法が使えなくなってしまっているユラ。どうしたものか……と考えているとエルフの長らしき人がこちらを見上げ語り出す。
「あなた……ただの花じゃないですね……それも人間っぽい……」
「え、ああそうなんですけど……」
(ああ、また喋っちゃった……)
勘のいいエルフ。長と呼ばれるのも伊達じゃないなと感心するとエルフはある事を話す。
「あなた……ひょっとして人間ですか?」
「…………何故それを」
「それはあなたからただならぬ魔力の匂いと人間の気配がするからです」
おそらくエルフは目をつぶっているから感覚が研ぎ澄まされているのだろう。そうユラが考えているとエルフが首を傾げながら引き続き話を進める。
「あなた…………もしかして魔力切れですか?」
「ええ、はい…………だから魔法学校に帰れなくてとても困ってて」
「ああ、だからそんなしなった感じなんですね」
長だからこその観察力なのか。花から感情が浮き出ている事を指摘され、つい照れ臭さを感じてしまうユラ。
「分かりました、せっかくの出会いですしあなたに少々の魔力を与えましょう」
「え、いいんですか?」
「はい…………ただし今回だけですよ?」
エルフがそう話すと植木鉢に手をかざし、ユラに力を与える。すると徐々に魔力が湧き上がり、人の姿として変身できるぐらいまで回復した。
「これで回復できたはずです」
「あ、ありがとうございます!」
「ですが1つ条件が」
そう言うとエルフはユラに向かいたった1つの条件を加える。
「それは人間と魔物の架け橋になるという事……それさえしてくれれば礼はいりません」
「…………架け橋ですか」
「そう架け橋です」
人間との架け橋。つまり繋がりを強めるという事だろうか。何が何だか分からないユラだったが既に魔力を頂いてしまったため、あっさりと条件をのむ事にした。
「ではよろしくお願いしますね人間さん」
エルフとの会話を終えるとそこは既に魔界ではないゲートの向こう側で。歩いてもないユラだったが何故かとっくに学校の校門にきてしまっていた。おそらく先程魔法学校に帰りたいと話したため、そのついでに帰路へと戻してくれたのだろう。
「ユラ!大丈夫か!?」
ユラが学校内へと入ると先生含む生徒達複数がユラの元へと駆けつけてくる。先程は心配されてないと感じていたが……なんだかんだ駆け寄って安否の確認をしてくる姿に思わず涙がちょちょぎれそうになった。




