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第23話 私と魔界と課外授業と

「では、授業を始める」



 春景の空。今回私達が集まったのは学校外の奥にある遠い森の中だった。



「これから魔界へと向かう……要は()()()()だ」



 クロノス先生がそう告げると何やらゲートのようなものを指さしそちらへと向かう。課外授業。これまでまともに学校へ通った事のないユラにとってはとても輝かしい単語で。これからどんな授業を受けるのだろうと胸を膨らませていた。


 ゲートの中へと入るとそこには見た事のない色の植物が延々と広がる。青々と茂る草。金色の植物。様々な色合いでとても美しいとユラは思った。



「新入生もいるので改めて話すが、ここには多くの魔物が存在している……何故だか分かるか?」



 そう先生が質問形式に話し挙手を促す。すると先日の勝負事で絡んできたブライアが話を進める。



「はい!古代の契約により人間界から顔を出さないようにしているためです」

「そうだ、さすがよく覚えているな」



 先生が褒めると指で頬を掻き照れ隠しをするブライア。ブライアから出た知識になるほどと関心を持つと先生が先の話を進める。



「そして今日は先日改めて話した3チーム構成のギルド制の授業について徹底して話したいと思う……まあ要は下調べといったところか」



 新入生もいるしなと先生が付け加えるとユラの方に視線を向ける。植物の構成。道端にある危険な物。この辺りに生息する魔物等……数々の話を聞いて今日の課外授業は終わりを迎えた。



 ◆ ◇ ◇



 日常と非日常が混ざりあった帰り道。ユラ達が学校への帰路に向かうと近くにあった洞窟の中から大きな雄叫びが響き渡った。



「な、なんだ今のは!」



 先生含め全員が驚くと、そこから巨大なトドのような生物が現れる。



「先生!なんですか!?こんな生物見た事のない!!」


「落ち着け!……全員私から離れるな!」



 先生が生徒の盾になるように庇うと、トドのような生物が勢いよく腕を振りかざし大きく風を送る。すると風が巨大な渦となり、先生含む全員を風で吹き飛ばした。



「うわああああああああああああああ!!!」



 悲鳴とともに流されると生徒達はそれぞれ散り散りになり、動けなくなってしまう。中にはケガをした生徒もおり、先生がどうしようか戸惑っていると、トドが次の攻撃態勢に入る。



「皆、無事か!?」


「はい、何とか……」


「アレはサクリファイスだ!……ケガをした者はこちらに!」



 近くにいたシルヴィと呼ばれる生徒が無事を確認するとケガをしたシャンディと共にすぐさま安全だと思われる場所へと入る。すると先生が治癒魔法の結界を張り、サクリファイスの前へと躍り出た。



「おそらく次の攻撃がくる!そうなる前に走ってゲートのそとに向かって逃げろ!」


「どうして攻撃しないんですか!?」



 ユラが思った事。先程もそうだが何故か先生は()()()()()()()()()()()()。それどころではない事は分かっているものの……とても不可思議な光景だったため思わず疑問を投げかけてしまう。



「それは……これが終わったら話す!だから今すぐここから逃げろ!」


「ですが先生!彼らはやる気です!!」



 ユラが指を指すとミオリオ含め複数の人物が攻撃態勢に入っていた。だが巨大な身体ゆえか全く堪える事なく、むしろ劣勢に立たされてしまう生徒達。どうしたものか。ユラが思い悩むとエルがある事を呟く。



「せめて頭の魔石に()()()()()()()()()()()()()()()……」



 頭の魔石。先程から見てはいたが大きな赤い宝石のようなものがキラキラと3つ輝いていた。ひょっとしたら私ならあの魔石に巨大な魔力を与えられるかもしれない。



「やめろ!お前ら!魔物達との契約が違反になるかもしれないんだぞ!」


「分かっています!ですが……」



 生徒達のいざこざに巻き込まれる中、ユラは隠れてある物を見つめる。先日【ティグリスからもらった指輪】。これは魔力をある程度コントロールする物だと彼が言っていた。これさえ使えば力が暴走する事なく、サクリファイスの頭の魔石に届くであろう。



「祝福ノ樹木!《アビエス・フェルマ》」



 するとユラの魔力がたちまちサクリファイスの頭の魔石に届き、動きを鈍らせた。何が起きたのか一瞬分からなかったが魔石の色が赤から青に変化した。ティグリスからもらった指輪は壊れてしまったが、どうやらサクリファイスからの攻撃が収まったようだ。



「やったっ!?」



 ユラ含め全員がホッとしたのもつかの間。全員の視線がサクリファイスに向かっている間ユラの身体が透け、変身が解け始める。思わぬ自体にすぐさま全員から見えない場所へ移動すると、完全に変身が解除されてしまった。



「おそらく大丈夫だが、今のうちに全員逃げろ!」



 先生がそう叫ぶと一斉に生徒達がゲートの外へ抜け出す。これで安心だとブライアが言うと、ほぼ全員が落ち着きを取り戻し帰路についた。……ただ1名を除いては。



(ちょっと!この後どうすればいいのよー!!)



 ユラが心の中で叫ぶとほんのりと塩水のような味がした。どうやら先程の攻撃で魔力を使い果たしてしまったらしい。不安と焦りでいっぱいになったが、ひとまず犠牲者が出なくてよかったなとユラは思った。

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