第17話 大きな実の木の下で
曇天の霹靂か。ようやく最後の授業を終えるとユラは学校の真ん中にある校庭へと来ていた。何故こんな事になったかというとちょっとした事情がある。クラスメイトだ。時期外れの新入生だか何故だか分からないが、彼ら3人に目をつけられてしまったようだ。
「お前、相当魔力が多いらしいな!」
「何故それを!?」
「さっき職員室でクロノス先生と話してるところを見たんだ……なんでせっかくだから力比べといこうぜ」
「お前みたいな先生にチヤホヤされやすそうな奴を見ると無性に腹が立つんだよ!」
ここまでの態度を見る辺り、どうやら先程の先生とのやり取りが褒めちぎられたものだと勘違いされたらしい。
「って事で魔力量勝負な!この苗を一番デカイ木にした奴が勝ちって事で」
「はあっ!?」
「じゃあ始めるぞー」
(この人達全然話聞いてない!?)
仕方なくユラが勝負に乗ろうとすると早速ぺぺと呼ばれてる人物が木を魔法で生やそうとする。
(さっきむやみやたらに魔法使うなって言われたばかりなのになあ……)
「へへっ!できたぞ!」
そうぺぺが魔法で木を生やすとこじんまりとした細長い木ができあがる。それを見た他2名が無理やり褒めるかのようになだめようとする。
「ま、まあ本番はここからだ!次俺な」
今度はガジュマルと呼ばれている人物が同じく魔法で木を伸ばすかのように生やす。
「やっっっっぱこれだろ!」
すると今度はぺぺの木を遥かに超えた身長の木ができあがった。さすが先輩というべきか。ユラもそれを見て思わず感心してしまう。
「2人共まだまだだな!」
「「ブライア様!?」」
「こういうのはこうするのさ!!!!」
ブライアと言われる人物が手を地面につけると今度は2人が生やした木を遥か遠くまで超えた木に変化させる。それも今度は幹が太い状態で。あまりにもデカイ木に思わず驚愕すると今度は自身の番だと促される。
「まあ、俺の木を超えるまではいかないだろうがな!」
ハハハッと笑いかけると自身の苗に足で砂をかけてコケにする彼。こうもバカにされるとさすがにキレてしまいそうになるユラだったが、先程の先生の言葉を思い出し少し冷静に考えてみた。
(もしかしたら魔力量を抑えるチャンスになるかも?)
そう考えながら同じように魔法をかける。するとたちまち巨大な木へと変貌し、にょきにょきと天めがけて生え始めた。どこまで伸びるか確認するとなんと3階まで伸び伸びと育ち始めるではないか。
「ちょ、ちょっとどこまで伸びるの!!」
下から木を眺めるとまるで学校を覆う傘のようで。そばにいた3人組でさえ同じ表情で固まっていた。
「おい!何をやっている!!」
さすがの大騒動に先生達も気づいたのか怒る始末。こうして男子3人組をコテンパンにして終えた勝負事だったが、こってりと叱られこの勝負事は全てなかった事になった。
◆ ◇ ◇
授業後、明日の手伝いと評してコキを使われていたエル達は、中庭の通路から職員室までの道を書類片手に持ち歩いていた。
「……アレはなんだ?」
隣にいたルゼが指を指すとそこには3階にまで渡る巨大な木が佇んでいた。
「さあな、気にするなよ」
エルが落ち着いた表情で通路を渡るとルゼも気にすることなくその場を通り過ぎる。ルゼとしてはもう少し眺めたいところだったが仕方なくその場を後にした。




