第15話 矢印の道の下で
例のマジックショーで目覚めたトリスティス達の質問からなんとか話を逃れ、帰宅した翌々日。ユラは街役所の係員の言うとおりにマッキンレー市街から少し離れた【モナの草原】へ来ていた。
「後はこの道をまっすぐ行って看板辺りに来るだけみたいだけど……」
見慣れない野道という事もあり、少々迷いながら魔法学校への道を歩くユラ。道なりには何もなくこれといった目印もほとんどない状態だ。
「まっすぐって言ってたけど本当にあるの?」
言われたとおり歩き続けるとそこには目印の看板が見えた。職員が言うにはこの看板から東を100歩歩いた場所にあるという話だが……先程から濃い霧が発生しており全く学校らしき建物が見えない。
「100歩数えるの面倒臭いなあ……後数歩かな」
ようやく100歩歩く場所に着くとやはりまっさらで。とてもじゃないが、学校があるようには見えないとユラが困惑していると、手続きの時に頂いたある鍵のようなものが光り出す。
(資格のある者よ……ここでこれを……この鍵をまわすのです……)
「えっ何!?」
手続きの時にもらった鍵は既に錠前にささった状態で。ユラは何が何だか分からないまま指示どおり鍵をまわす。
「……これは、魔法学校!?」
するとたちまち学校らしき建物が現れ始め、先程の野原が嘘のように学園へと変化する。キラキラと光るそれは魔法学校にふさわしいマジックそのもので。ユラは何だかとてもすごいものを見たと感銘を上げた。
「なにこれ!すごい……」
学校に着いたと安心したのもつかの間。ひとまず職員室へ向かおうと歩き続けるとユラの目の前にある人物が出迎える。
「やあ、君が今日から学校に入学するという者かね?」
「はい、そうです」
どうやら出迎えた人物はこの【ステファニー・ドゥ・モナ魔術高等学校】にいる教頭先生のようで。本日入学予定の者が現れたとの連絡をうけ温かく出迎えにきたらしい。
「ステファニー・ドゥ・モナ魔術高等学校、通称ステモナはまあ簡単に言うといいところじゃよ〜」
「……はあ」
雑な紹介をうけつい呆れた態度を見せてしまったが、教頭先生が言うように実際に庭も美しくキレイな場所だなと感じた。ただ実際に入ってみないと色々分からないので何とも言えないのだが。
◆ ◇ ◇
その後教頭先生に学校や女子寮の紹介、授業内容等の説明をうけ、その日は多忙のまま終わった。この学校は半寮制な事もありすぐさま自身の部屋に着くとベッドの上でゆっくり休んだ。もっとも自身が植物という事もあり睡眠は取れないのだが。
「……今日一日大変だったな」
ゆっくりと床につくと植木鉢が割れないようそっと変身を解く。ユリウスが亡くなってからまる数日中人の姿だったが、気を失っている間も解除されてなくて本当に良かったなとユラは思う。
「これから頑張るよ、ギュンター、ミルテ、ユリウスさん」
そう呟くと明日の日程表を取り出し予定を振り返るユラ。ユラの長い夜はまだ始まったばかりだ。




