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第11話 支度と食事と微睡みと

 この部屋にきてから2日後、私はユリウスさんが留守中の間も同じように変身と移動の魔法を繰り出していた。



()()()()()!《ヴァレ・リアン》」



 今は人じゃないので食事は必要ない。でも植物のため変身中は植物の育成本に従い、朝のみ少量の水を植木鉢の中に注ぎ日光を浴びるようにしていた。どういった状況なのか詳しく言いづらいけど、例えるなら植木鉢が心臓の位置にある状態で口からその辺にかけるように水を摂取している感じだ。



(じゃないと誰も世話する者がいないぞとユリウスさんに言われたけど……)



 もう少し妥協案とかなかったのだろうか?とさすがに思ってしまったが、魔力をある程度コントロールする薬……その単語に惹かれ持ってくる事を任せてしまったため、あまり強く意見を言えずに会話を終えてしまった。



 ◆ ◇ ◇



「いいか?魔力抑止薬を今からもらいに行ってくるが、くれぐれも外に出ようとするなよ!最悪人に見つかるぞ!」


「さすがにそんな危ない事はしませんって」


「どうかな……それから君の水やりは自身で行え!いいな?」


「えっどうやってですか!?」



 どういった仕組みになるか分からないが、今の状態でも水やりは可能なんじゃないかと彼から教わった。確かにだいぶ魔法の持続時間は伸びたが、本当にできるのだろうか?そう悩む私をよそに外出の支度を始めるユリウスさん。



「ではいってくる」


「いってらっしゃい」



 彼が言うには帰宅までにまる1日はかかると言う事だったけど……なんでもない1人での留守番がたった一言のせいで不安な物になった気がした。そんな心配をしている私を気にする事なく無愛想な態度で彼はそのまま出ていった。



 ◇ ◆ ◇



(確かに実際にできてはいるけども……)



 少々腑に落ちなかったけど留守中も実際に上手くやれた事に喜びを感じ、つい呑気に歩きまわる。いつ戻るかと待ち望んでいると玄関のベルの音が小さく鳴り出し、扉が静かに開き始めた。



「……戻ったぞ、イア」


「おかえりなさいユリウスさん」



 相変わらず仏頂面な顔の彼に向かい挨拶をすると、彼は薬品についてではなくとある疑問について質問を投げかけた。



「君2日何も食べてないんだよな?」


「はあ、水やりだけですけど……」



 基本植物なので食事は水だけだと伝えるとユリウスさんは不思議そうにこう話す。



「水やりについてだが、結局どう行ったんだ?」


「ああ、こうやって口を開けてバァーって」



 いきなり何を聞き出すのかと思うと少々固そうな物が入っているであろう小袋を取り出した。彼がその袋を開けるとこじんまりとした四角いビスケが入っているようだった。



「なあ、ひょっとしてだが食事もいけるんじゃないか?」



 試しにでいいからとビスケを口にするよう話すユリウスさん。魔法初心者の私に対して急に言われても困るのだけれど、どうしても変身中での食事が可能かが気になるようで。困惑しながらも小さなビスケを人と同様の食べ方で口にする事にした。



「……どうだ?」


「……えっ……これは……」



 すると口に入れたビスケが変身で作られた魔力の殻の中で溶けるように消えていった。微力だけれどもほんの少しだけ力がわくような感覚もある。



「この状態でも食事できるみたいです」


「そうなのか!!……で?味覚の方はどうなんだ?」


「いえ、それがしないみたいで……」



 さすがに魔法なだけあって味覚までは感じられないのだとガッカリする私。



「まあ……世間一般の人間のように食事ができるのだからまだいいだろう……ところで薬品についてだがまだ使用はできないぞ」


「……えっどうしてですか?」



 ユリウスさんが言うにはよく晴れた日でないと効果が発揮されないとの事。味覚を感じられないという事実で確認どころではなかったが、確かに昨日から天気が悪いような気がする。



「……通りすがりの商人達が言うには明日までは雨が降るらしい……だから使うなら明後日だな」


「でももう必要ないのでは?だってそこそこ持続もできっ……!?」



 変身できてる時間が長くなったと報告したのもつかの間。変身が解ける音が鳴るかのように人の姿から植物の姿へと戻ってしまう。



「いや、これはあの……」


「やはり()()()()()は必要のようだな」



 だいたい君は植物のわりに魔力量が多すぎると理不尽に叱られ少々落ち込む私。さすがに調子に乗りすぎたなと反省しているとある事を伝えられる。



「念の為に言っておくが、睡眠中も魔法が解除されないようにしておけよ……何があるか分からないからな」



 そう述べるとユリウスさんもさすがにお疲れなのか寝床につき身体を休める。最初は気に障る人だなと思っていたけどなんだか憎めない人だと私は思った。

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