アデリーちゃんと巣立ちの時
それは、アデリーちゃんが生まれて、60日目のことでした。
まだ、首周りは白く、アデリーペンギンの特徴的なアイリングもありませんが、アデリーちゃんは、りりしいペンギンの姿に成長していました。
その朝、アデリーちゃんが目覚めると、何だかいつもとようすが違っています。
「おはよう」と声をかけても、デュモンお父さんも、デリーお母さんからも、返事がありません。
朝ごはんも、何もありませんでした。
そう言えば…と、アデリーちゃんは昨夜デュモンお父さんと、デリーお母さんに言われたことを思い出しました。
『アデリー、君はもう一人前の大人ペンギンに仲間入りする。だから、この巣で暮らすのは今日までなんだよ』と、デュモンお父さんが言ってたっけ。
その横で、デリーお母さんに、『みんなで、この巣から、出ていくのですよ』と、涙を流しながら言われたんだった。
シンと静まりかえった巣の中で、アデリーちゃんはさみしくて泣きそうになりました。
『そうだ、クレイシュの保育園に行ってみよう』と思い立ち、アデリーちゃんは朝ごはんも食べずに、お外にでました。
クレイシュに着くと、アデリーちゃんと同じように、子どもペンギン達が、泣きそうな顔でウロウロとしています。
そこに、大人のペンギンが通りかかり、「今年も巣立ちの季節がやってきたか…」と、なつかしそうに子どもペンギン達を見わたした。
そして、オロオロとする子どもペンギン達に向かって、「泣いていても、何もはじまらないぞ!。みんな、オレについてこい!!」と、アデリーちゃん達、子どもペンギンをつれて、海にやってきました。
その大人ペンギンは、「海には、ヒョウアザラシやシャチがいるから、みんな注意するんだぞ!」と言って、海に入いっていきます。
アデリーちゃん達も、大人ペンギンに続いて、海に入りました。
そして、海の中で、「はじめから、魚をとるのはむつかしいから、まずエビをねらうんだ」と教えてくれました。
南極の海には、おいしそうなエビがいっぱいいます。
大人ペンギンは、優しく、「どうだ、うまいだろう。このエビはオキアミって言うんだぞ!」と、口いっぱいにオキアミをくわえたアデリーちゃん達を見て、安心したように笑いました。
朝から、何も食べていなかったアデリーちゃん達は、夢中になってオキアミを食べます。
そんな子どもペンギン達に、「こらこら〜、食べながらでも、まわりの警戒をわすれるなよ!」と、大人ペンギンが注意します。
お腹いっぱいになったアデリーちゃんは、大人ペンギンにお礼を言ってわかれました。
いくあてもなく、不安をかかえたまま、自然に足は巣のほうにむかいました。
巣についたアデリーちゃんが、「ただいま〜」と、声をかけてみても、やっぱり返事はありませんでした。
「お父さんも、お母さんも、もうこの巣には帰ってこないんだ」と、アデリーちゃんは、自分に言い聞かせます。
しかたなく、トボトボと歩きだすと、遠くにデリーお母さんとデュモンお父さんがいました。
アデリーちゃんがあわてて「お母さ〜ん!お父さ〜ん!!」と呼びかけますが、デリーお母さんもデュモンお父さんも、アデリーちゃんをチラッと見ただけで、そのまま離れていきました。
それを見たアデリーちゃんは、『そうだ!ボクは今日から、ひとりでガンバらなければいけないんだ!!』と、デリーお母さんとデュモンお父さんがいた方に背を向けて歩きだしました。
アデリーちゃんが背を向けた先では、デリーお母さんが、涙をこらえて、『アデリーちゃん、これからは、ひとりで生きていくんだよ』とつぶやいていました。
そして、デュモンお父さんも、『かわいいお嫁さんを見つけたら…顔を見せにきなさいね』と、アデリーちゃんの幸せを願いました。
アデリーちゃんが、南極の空を見あげると…いつか見たオーロラが、アデリーちゃんを応援するように、キラキラとゆらめいています。
きっとこれからも、いっぱいのキラキラが、アデリーちゃんを待っているでしょう。
たくましく、生きてね!!アデリーちゃん
次作は未定ですが、もし続けられるなら、恋人が出来て、子どもが産まれて…と広がれば良いな!と漠然とは考えています。出来れば、日本にも連れてきたいな〜!!
との思いから 〜完〜 は付けませんでした。
もし続きを書く機会があれば、よろしくお願いします。




