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限界(3)

 

 悲観的な状況が続く中、4月24日にアメリカのブリンケン国務長官とオースティン国防長官がキーウを訪問したというニュースが飛び込んできた。

 ロシアの侵攻以来、米国として初めての閣僚訪問だった。


 ポーランドから列車でキーウに入った2人は、ネクタイのないラフな背広姿でゼレンスキー大統領らと向き合った。

 国務長官は白のシャツ、国防長官はブルーのシャツを着ていた。


 国務長官が「ゼレンスキー大統領の指導力とロシア侵攻を食い止めるウクライナ国民の勇気に深い敬意を表す」と伝えたのに対し、ゼレンスキー大統領は今までの支援に謝意を表した。

 その上で、反撃能力を高めるための長射程の重火器や対空砲、戦車などの大型兵器を求めた。

 対してアメリカは今後も支援を続けると答えたようだが、詳細は発表されていない。

 ただ、21日にりゅう弾砲72門や砲弾14万4千発や無人機など総額8億ドルの支援を決めたばかりなので、更なる重火器を供与するかどうかは検討中なのではないかと思われた。


 それでも、ウクライナ軍に検討を待つ余裕はなかった。

 というより切羽詰まっていると言う方が正しいと思われた。

 これからの主戦場である東部や南部は平原が広がる地域だからだ。

 今までのような接近戦では戦えないだろう。

 射程の短いジャベリンなどでは限界があるのだ。

 射程の長い大型の武器を喉から手が出るほど渇望しているに違いない。


 だが、アメリカが大至急対応したとしても実現には数か月かかる。

 プーチンが勝利宣言を(たくら)んでいる5月9日までには間に合わない。

 あと2週間となった今、攻撃が激化するのを防ぐことはできないだろう。


 不曲の頭の中に破壊され尽くしたマリウポリの街が浮かんで消えた。

 それは、惨劇を超えた空前絶後の筆舌を尽くしがたい地獄のように見えた。



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