第33話 恋人たちのバイオレンス②
「むう〜〜〜」
その少年は石畳の上で天を仰いで寝ている。ぐったりとしており、意識があるのかどうか分からない。
碧は小野の頭のそばにしゃがみ込むと、彼の頬をつついた。
「小野〜〜〜。生きてる〜〜〜?」
碧のゆるい声音か。頬への刺激か。どちらに反応したか、小野の唇が微かに動いた。
そこへ。つつー、と。碧が一筋の唾液を垂らす。それは糸を引き、間抜けに開いた小野の口内へと滴り落ちていく。
ああ、私は今日も止められなかった。そうして追い討ちのように、贖罪のように、言われるがまま唾液を落としている。いや、うそだ。もとより止めるつもりはなかった。香ちゃんがやりたいことなんだから。それを止める権利は、私にはない——。碧は思考に蓋をして立ち上がると、自分の口元を軽く拭った。
「はい。やったよ」
「いやー、いいね! 興奮してきた!」
いつの間にか近くで見ていた八神が拍手で讃え、嬉々とした感情を発露させる。そのまま碧に後ろから抱きついた。
「やっぱ碧ちゃんえろいなー」
制服の上から胸をまさぐり、明るく染められた髪に顔をうずめる。うなじに密着し、探り当てた耳に舌を這わす。びくっと碧の身体が震え、やん、と嬌声が上がった。八神の右手はスカートの中へ。するすると躊躇いもなく滑り込む。
「ここじゃだめだよ〜」碧の訴えも虚しく。
「ここだからいいんだよ」その声に、無抵抗に従順に。
少女は下着を剥がされていく。




