20日目③
20日目③
「アタシだってそんな大したスキルじゃないしー、だからこんなところにお使いきてるんだしー」
シブハは自嘲する。
なんでもクラスメイトの中でも戦闘職の素質やスキルを持ってない人間はシブハのように仕事を依頼されるんだとか。
「アタシなんて荷物持ちだよ!嫌になっちゃうよ!トラックの運ちゃんかっての!」
「いや、それ似合ってるだろ」
「うざっ!アリトうざいっ!!」
シブハは将来トラック運転手なってそうだけどな。運転似合いそうだし、カッコいい。
「しかし……シブハが荷物持ちか……」
「ん?」
「いや、なんでもない考え事」
俺はみんなの素質やスキルは詳細まで聞いていないが、シブハのスキルを聞いた感じもっと「使い用」はあると思ったんだけどな。まぁ普通に考えればこんなもんなのか?
魔王退治の割にはイマイチ緊張感薄いんだよな、この世界。
「っと、そろそろ依頼完了の報告しないとだ。じゃな、シブハ」
「ちょっと待ってよ!アリトはこの後どうするの」
アリトは華麗に部屋を出ようとしたが回り込まれてしまった。
しょうがない、正直に言うか。
「とりあえず冒険者になったから、F級に昇格したらどっか違う国に行こうかなと思ってる」
「行ってどうするの?怖くないの?魔物なんかいる世界で……私たちの知っている人なんて誰もいないんだよ?」
シブハは不安そうに聞いてくる。
こいつも見た目とは裏腹に不安を感じてたらしい。
「この国にいても同じようなもんだろ。監視されてるようでムカつくし、むしろクラスメイトがいない分動きやすいしな。」
リュージの事を見る限りこの国でクラスメイトと一緒にいたって碌なことにならない。いや、最悪殺されるまであり得る。
最後に俺はカッコつけて言ってみた。
「この世界にも、クラスの奴らにも思い知らせてやらないとな。誰を蔑ろにしたかを」
「……プッ、アハハ!なんかアリトはこの世界に来ても全く変わってないね!」
そう言って笑い続ける。
いや、シブハさんよ。俺も結構いろいろ考えてるんだからね。
あといい加減依頼の完了報告しないといけないんだけど。
ツボに入ったのかしばらく「まじウケるwww」って感じで笑ったあとシブハは落ち着いたようで、俺を見た。
「じゃあアタシもアリトに着いて行くね♪」
え、なんで?
嫌なんだけど。