20日目②
20日目②
俺の目の前にはクラスメイトのシブハが立っていた。
「久しぶりじゃん!何してんの?つーか逃げるなよ!」
一言でいろいろな感情があふれているなこいつ。
「……久しぶり、要人ってお前だったのか。俺は今冒険者ギルドの依頼でこの部屋の清掃をしてたんだ」
「アリトがこの部屋清掃したの!?めっちゃウケるんだけどっ!!」
そりゃお前はウケる奴だよ。俺としては会いたくなかったけどな。
話し方からわかるかもしれないがシブハは典型的なギャルだ。一言で言えば「チョリース!!」と言ってきそうな外見だが、正確に描写するとすれば身長は160㎝位のモデル体型、金髪セミロングでよく〇〇ランドに出没しそうな超ミニスカのその恰好は(つーかこいつなんでまだ制服着てんんだ?)10人見れば10人とも振り返るくらい。
性格はちょっとキツめだがサバサバしていて、意外と誰とでも気兼ねなく喋るからファンは多く、元の世界では俺含むクラスカースト上位グループに堂々と君臨していた。
「まぁ依頼だからな。仕事はきっちりこなすタイプだ」
「あー確かにそうだったねー、ってなんで逃げたんよ!あの後大変だったんだぞ!」
「わりぃわりぃ、リュージ切れてたか?」
「ブチギレだよ!クラスの雰囲気もちょー悪くなるし、おかぴー先生泣いちゃうし」
シブハは口を尖らして文句を言う。知らんがな。いや、おかぴーには悪いことしたな。
「んで、なんで逃げたのよ」
あー、だめだこれ言わないと絶対に終わらせてくれないやつだ。今シブハと関わると他のクラスメイトにもバレそうで嫌なんだけどな。
「いや、俺の素質ってどう考えても英雄になれないじゃん。あのまま城に残ってもなんもできないし、そもそも勝手に召喚してくるような国を信用できないし。あとクラスメイトの奴らも調子乗ってるし最悪見捨てられる可能性が高い、それなら俺は1人で好きにやらせてもらおうと思ってな」
「あー確かにアリトを馬鹿にする流れできちゃってたよね。リュージなんて露骨に浮かれてたし、サキなんて……あんなにラブラブ感を周りに見せつけてたのに酷いよね。」
シブハは1人納得する。
確かにあの2人は露骨だったなー一瞬で手のひらを返す奴らってどうしてこんなわかりやすいのかね。
「知ってる?あいつら今付き合ってるみたいだよ?」
「え、そうなのか?まぁ逃げる前の感じからそうなりそうな気はしてたけどな」
「リュージはアリトを羨ましがってたから、アリトの物がなんでも欲しいんだろうねぇー、サキは……悪くいうつもりはないけどあんな奴だなんて知らなかった」
まぁ、付き合ってた俺もたまに(あれ?こいつって?もしかして?)と感じるレベルであいつは自己顕示欲が強い気はしてたから、驚きはしない。
「でもシブハは良いのか?」
「ん?なにがぁ?」
「お前リュージと付き合ってるんじゃなかったの?」
「ぶはっ!!誰があんなのと付き合うかぁ!!」
あれ?そうなの?俺とサキがいる時はリュージとシブハ4人で遊ぶことが多くそうなのかと思ってた。
このギャル意外とこう言った話は固くて、したことないけど。
「まじか……アリトがそう思ってたなんて」
「いや、なんかすまん」
「とにかくアタシは元の世界でも誰とも付き合ってないからね!?」
そうだったのか。シブハファン(通称:シブ派)が喜ぶ情報を得てしまった。
「んで、1人で逃げなくてもよくね?」
「それはそうなんだが、ただでさえ素質ガチャ失敗してる俺に誰も着いてこないだろ、皆を危険な目に遭わせるわけにも行かねーし」
「素質ガチャでいえばアタシだって成功はしてないし」
「お前は使えるスキルがあるじゃないか」
シブハの素質は配送人という、あちゃーな名前の素質だったが、スキルがすごく使える。
『倉庫空間』という魔力をもとに出し入れ自由なスペース(本人曰く100lのキャリーケース1個分くらいのスペースとのこと)を作ることができる。
俺の『上段斬り』(笑)なんかと訳が違う。