20日目④
20日目④
「え、なんで?嫌なんだけど?」
思った言葉がそのまま口から出てしまった。
「なんでよ!?いいじゃん!連れてってよ!」
シブハはまた口を尖らす。やばいこうなったらまたいうこと聞かなくなる。
「いや、だってさっき言った通り俺もどうなるかわかんないし……他の国に行くってことは一応建前だけかもしれないけどこの国の召喚者への保護もなくなるってことだぞ?」
「まぁでもアリトがいればなんとかなるっしょ?」
でた、シブハのこの楽観的な考え方。だけどこいつのこの楽観さは大抵本人の良い方向に行くんだよな。
「いや、しかも俺についてくるってことは俺と二人っきりってことだぞ?嫌じゃないのか?クラスメイトが知ったら噂になっちゃうぞ?」
「んーアリトと二人っきりでも全然嫌じゃないよ?」
シブハは見つめてくる。
それってどういうことだ?
「アリトならアタシも守ってくれるし何とかできるでしょ?」
なんだこの無限の期待!?
俺は確かに優秀だけどモブ素質だぞ?馬鹿にしてんのか?
「まぁ、というわけでアタシはアリトと一緒に行くことになったから!決定ね!」
そして強情!!
「まじか……わかったよ……まぁとりあえず依頼を完了させないといけないし、どこの国に行くかも考えないといけないし、シブハも仕事あるだろうから今日のところはいったん解散しようぜ。俺は冒険者ギルドに戻るから」
「とか言って逃げようとしてるんじゃない?」
「そんなことはさすがにしないよ!」
「ふーん……じゃあアリトが泊まってる宿を教えててよ。」
「なんでだよ」
「それならもしアリトがこの街を出ようとしてもわかるでしょ」
「……しょうがないな『猫のカバン亭』だよ」
「オッケー、あとアリトのものなんか一つ貸して」
「おい、人質ならぬ物質かよ!?さすがに信用なさすぎじゃね?」
「誰にも言わずに一人でどっか行く人にはこれくらい用心しとかないとね」
まじか、しょうがない。
「じゃあしょうがない俺の学生証でいいか?」
「これ大事なの?」
「おい、学生。大事に決まってるだろ。俺は元の世界に戻るつもり満々だからな。戻った時にこれがないと身分証明できるものがなくなるし、再発行はめんどくさい。」
なんたって学生証の写真に2時間近くこだわったからな。
「アリトなら確かに大事にしてそうだね、わかったじゃあこれ『借りる』からね」
「はいよー、じゃあとりあえず俺は出るわまたな」
「またねー♪」
シブハは笑顔で見送ってくれた。
俺はとりあえず受付嬢に完了報告を行い依頼報告書を受け取った。
そのまま冒険者ギルドに向かいウラノさんに報告書を提出する。
「アリトさんありがとうございます!報酬はこちらです。そしてこの依頼をもってアリトさんはF級冒険者に昇格しました。おめでとうございます!」
F級への昇格は特になにもないらしい冒険者のタグにF級と書かれたものが送られてはい終わりといった感じだった。
俺としても特に感慨も何もないのでそのまま受け取りウラノさんにお礼をいうと冒険者ギルドを出る。
そのまま宿に
……は向かわず街の門へ一直線に向かう。
誰が約束なんか守るか!
絶対あいつ一緒にいくとか言いながら途中で裏切って馬鹿にする気だ!そのあとクラスに戻って俺のことを笑って報告するつもりだろ!
俺は貴重品(すべての荷物)は肌身離さず持ってるから宿に戻る必要なんて全然ないし、学生証なんて全然大切なものじゃない。貸すなんて言ったけど捨ててやるわ!
俺は一人でいくと決めたら一人でいくんだ!
まぁ本当はあと4~5日ほどどの国に行くかをじっくり調べて、またお世話になった人に挨拶してから行きたかったところだがしょうがない。
こうなったらなるべくクラスメイトがいないところを目指すしかないな。
そして俺は街の門から外に出て行ったのだ。
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