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息が止まる一瞬 ーside S
朝の体育館。
整列するクラスメイト。
キーンと響いたスピーカー。
校長先生の長話。
隣のクラスの好きな人。
斜め後ろの宇知山くんに、そっと顔を向けた。
ーえ。
息が止まる。
見たことの無いホワンとした感じの表情の宇知山君と目が合った。
瞬間。
目を見開いた宇知山くんは物凄い勢いで顔を背けた。
あまりの勢いに宇知山くんの隣の男子がビクッとする。
え。え。
何で?
え?
まさか目が合うなんて。
そんな事思っていなかったので頭が沸騰する。
え?
まさか見てたの?私を?
うわ待って。変な顔してなかったかな。
恥ずかしくて居た堪れなくなって、顔を戻して軽く俯く。
顔が熱い。
だって。
見てしまったのだ。
顔を背けた宇知山君。
その襟足が、耳が、真っ赤になっていた。
宇知山君が私を見てくれた。
なんだ。
ちゃんと、意識してくれてたんだ。
嬉しい。嬉しい。
好き。宇知山君が好き。
恥ずかしくて照れくさくて、自然と口元が緩んだ。




