表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
初恋のもだもだ  作者: 歩道
10/12

ヘアアイロンとバニラの香り ーside S

キンコンカンと鐘が鳴る。


放課後、私は一目散に教室を出て目的の場所へ向かう。

オレンジとマゼンタの夕焼け空の下で勇気を出したあの場所へ。


ーーーー


自分から動かなきゃ。

宇知山君に好きになってもらいたい。

でも、結局その日も何もできずに、怯んだ心のまま帰宅した。


ご飯を食べてお風呂を終えて部屋にこもる。

ベッドにうつ伏せに寝て、今日廊下を歩いていた宇知山君を思い出した。

こちらを気にもせず見向きもせずに歩いて行った宇知山くん。


自分から動かなきゃ。


重たい体を起こしてスマホを手に取り、メッセージアプリを開いた。

山ちゃんのメッセージを読む。


ーOKしてくれたんだから、自信持って!ー

ースマホで連絡先交換とか!?まずは文章の方が気が楽では?ー

ーもうすぐ夏休みじゃん?花火大会とかお祭りとか!もし不安なら、私&菊井君と一緒行く?菊井君バスケ部だし!絶対協力するんだから!不安なら遠慮なく言ってね!ー


勇気がムクっと顔を出す。

そうだよ!OKしてくれたんだから…!

山ちゃんありがとう…!

明日こそは…。


いつの間にか寝ていた私は、その日宇知山君に恋したあの日の夢を見た。


ーーーーー


翌朝、朝食後に洗面台の前に立つ。

ヘアアイロンを使って、毛先を少し外はねに。

濃いピンクの瓶に入った母と共用のヘアバームで少し整える。

最近のお気に入りのヘアセット。

テスト期間で部活もないし、ビューラーでまつ毛もあげちゃおうかな。

最後に、お気に入りのバニラの香りのリップを薬指に取って、唇に伸ばした。

よし。髪型も今日は上手くできた。


「いってきます!」


カバンを持って、気合十分に玄関をでる。

今日こそは宇知山君に話しかけるんだ!と言う前向きな気持ちと、先日のコチラを見向きもしない宇知山君の姿を思いだしてグラグラ心が揺れる。

また少し怖気付いた所で、学校に着いた。


今日は全体朝礼の日だ。

クラスごとに体育館に移動して、整列する。

周りのお友達と談笑していると、マイクで教頭先生の号令が聞こえて朝礼が始まった。


どうやって話しかけようか。

うーん。山ちゃんのアドバイスがいいかも。

メッセージアプリのID交換をして徐々に…。

確かに文章の方が変に緊張しなくていいかも。

IDをメモに書いて渡して。

うん。いいかも!

持つべきものは親友!

山ちゃんありがとう!


校長先生のいつもの話をさも聞いているかの様な顔をして、宇知山君との距離をどうやって縮めようか考える。


どのタイミングで渡そう。


メモを渡す瞬間を想像した時、昨日までの私に関心の無さそうな宇知山君を思い出して、また少し怖気付いたらソワソワしてきてしまって、何となしに前髪を触った。


隣のクラスの宇知山君。


宇知山君が並んでるのは私の左斜め後ろあたり。

少し顔を向けると見えるって知ってる。

朝礼の並びは、割と近めの距離で宇知山君を堪能できる私のご褒美タイムだったから。


体育館にハウリングしたマイクの音が響いた。


まぁ宇知山君は私の場所なんて、知らないだろうけど。

なんだか胸がギュッとしてきて、宇知山君を目に映したくて

そっと目を向けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ