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第八十一話 新たな魔王ゾンビ

 夕食を自宅の大食堂で済ますと、ユーリさんとアクエラさんとデルイドさんに残って貰いました。

 僕の気配を感じてか、一度部屋に戻っていたヒュアちゃんが、眠い目をこすりながら食堂に戻って来ました。

 ヒュアちゃんの顔を見た黒猫マリーが、僕の膝から隣の椅子に移りました。


 何か通じるものがあったのか、ヒュアちゃんが僕の膝に当たり前の様に座った。

 僕はその自然の流れに、違和感を全く感じませんでした。

 膝に座ったヒュアちゃんがしばらく僕を上目遣いでじっと見ています。誰もが美しいというヒュアちゃんはやっぱりかわいい。


 まあ思えば、僕に会いたくてここにいるのに、最近はあんまり相手を出来ていません。

 この位はしょうが無いのでしょうか。

 僕は、ヒュアちゃんを膝に載せ頭を撫でながら三人に話しかけました。


「三人にお願いがあります」


「あー、わかっているのじゃ、ローズ様の件じゃ」

「その件なら狩る魔獣がいなくなるほど狩り尽くしたから、もうどうでもいいでありんす」


「えーーっ、そんなに狩ったのですか」


 なんだか、ユーリさんとアクエラさんが、恐ろしいことを言っています。


「狩りましたわ」


 デルイドさんまで言っています。


「それは困りましたねー」


「どうしたのじゃ。ローズ様の件では無いのか」


「はい、ローズの件もあったのですが、ライアクさんをクラスアップして欲しいと思ったのです」


 僕は、地下にいる魔王ゾンビ、力の魔王ライアクさんをクラスアップして、クリードさんの護衛を任せようと思っているのです。


「仕方ないのー、ノコ様のためなら、少し大変じゃが、何とかするのじゃ」


 ユーリさんが、言うと他の二人もうなずいてくれています。


「では、僕も一緒に行きます」


「もう、行くのですか?」


 ヒュアちゃんが弱々しい声で質問します。


「はい」


 僕が返事を返すとヒュアちゃんが、膝からぴょんと飛び降り、悲しそうな顔をして、ギュッと抱きついて来ました。

 可愛い子供は仕草の一つ、一つが全て可愛いです。

 思わず抱きしめ返してしまいました。


 ふと顔を上げると大人の三人が下唇をギュッと噛みしめて、眉毛をつり上げています。

 あ、あんたら大人でしょ、子供のやることをそんなに、目くじらを立て無くてもいいのにとあきれてしまいました。

 黒猫が背中を震わせて笑いをこらえています。


「では、行きましょうか」


「ぎゃーー、気持ち悪いのじゃーー」


 地下から出してきた、ライアクさんはボロボロの服に肌は黒ずみ、所々皮膚が破れて何か汁が出ています。

 ユーリさんは相変わらずゾンビが気持ち悪いようです。


「じゃあ、マリー適当に、魔獣のいそうな森へお願いします」




「これは、すごいですね」


 深い森の中に移動しましたが、魔獣の気配がありません。

 普通の動物がいるだけです。


「この夜空の星のように、キラキラ光るのは魔石ですね」


 森の中に魔石が大量に放置されています。

 ここに見えているだけでも拾って換金すれば、一生遊んで暮らせるでしょう。


「ふふふ、ここの魔獣は私が弟子の為に狩り尽くしたのじゃ」


 ユーリさんが自慢そうです。


「マリー、場所を変えましょう」


 それから何度か場所を変えましたが、本当に魔獣がいなくなっています。


「ふふふ、三人が本気で狩りをするとすごいですね。これでは、冒険者の商売が上ったりです。またギルド長に何か言われそうです」


「ふん、冒険者など賞金首でも捕まえていればいいのじゃ」

「そうでありんす。その方が、治安が良くなるでありんす」


 その後、色々な森やダンジョンを回って狩り残しの魔獣と仕方が無いので普通の動物も使って、何とかライアクさんをゾンビのマスタークラスにクラスアップしました。


「うおおおおー、冥府王様ーやめて下されーー」


「……」


「ぎゃーあはっはっは」


 ユーリさんとアクエラさん、デルイドさんが腹を抱えて笑っています。


「ライアク、控えるニャ。冥府王の御前ニャ」


 マリーさんが、大魔女姿になって威を示した。

 すると、ユーリさんもアクエラさんもデルイドさんも平伏した。

 それを見て、筋骨隆々で髭面の大男ライアクさんも平伏した。


「おもてを上げるニャ」


 ライアクさんが顔を上げて、僕の顔を一瞬見て視線を外した。

 そして、もう一度見た。

 そして視線を外しもう一度見た。


 うん、見事な三度見です。


「あ、あの……」


 ライアクさんが僕から視線を外せず、目を見開いて凝視しています。


「い、言いたいことは分かりますが、僕はいま冥府王ということを隠してこの姿で生活しています。名前はノコと言います」


「はっ、ノコ様」


 ライアクさんは全て理解してくれたのでしょう、返事をすると、小さな声でアクエラさんに話しかけました。


「なーアクエラ、ノコ様はすごい可愛いなー。性別も替えてしまったのか。ほれてしまったぞ」


 だーー、何を言っているんだこのおっさん。

 全部聞こえているっちゅーねん。


 黒猫と、青竜王と魔王二人のゾンビが、転げ回って笑っています。


「あのー、僕は、全然笑えません」


 僕は自分で厄介ごとを増やしてしまった気がします。


 気が付けばあたりはすっかり明るくなっています。

 僕とマリー、ライアクさんは、三人とここで分かれ、そのままクリードさんの所に行きました。




「では、ライアクさん、皆の命が危ないときだけ、その力を使って下さい。それ以外は力の使用禁止です。いいですね」


「はっ」


「クリードさん、ライアクさんを配下に加えて下さい。とても頼りになると思います。よろしくお願いします」


 僕は人さらいの砦でクリードさんにライアクさんを引き渡し、クリードさんの陣営に加わってもらった。

 ライアクさんが心配なので、今日は夕方までライアクさんと一緒に過ごしました。

最後までお読み頂きありがとうございます。


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