第八話 救出任務終了
「何処へ移動いたしましょうか。ノコ様」
やっとローズの怒りが解けたようだ。
「あーそうだ、その前に、皆にお願いがあるのですが」
僕は移動する前にこの事を口止めしたいと思った。
なにしろ僕の目標は普通の暮らしですからね。
「何でしょうか」
ヒュアちゃんが不思議そうな顔をして質問して来た。
「うん、今日見たことは秘密にしてほしいんだ」
「えっ」
ヒュアちゃんもメイドさんも驚いたようだ。
「まあ、勇者が助けてくれたことにしてほしい」
「……はい、分かりました」
みんなが納得出来ているわけではなさそうだが、一応内緒にはしてくれるようだ。
「あと、ローズ」
「はい」
「鏡を見せて欲しいのだけど」
「分かりました」
ローズの手から鏡を受け取るとのぞき込んだ。
パシッ
「あっ、割れた!」
「ぷっ、魔女の呪いですね」
「くそう、見せないつもりか。ヒュアちゃん、僕はどんな顔をしているのか教えてくれないかな」
「そうですね。とっても美しいです」
「あっそう……」
たぶんノコとは似ても似つかない顔だという事がわかった。
「よかったです」
「えっなにが」
「だってノコ様が男なら結婚出来ます」
「そうじゃな」
「はぁ、ヒュアちゃんもユーリさんも何を言っているんですか。僕にはそんな気はありません。他をあたって下さい」
「ぶっ、で、何処へ行きましょうか。ノコ様?」
ローズが吹き出している。
「うん、ギルド長の部屋へ」
「うわあー!!」
突然現れた僕たちにギルド長が驚いている。
「ギルド長、お姫様は救出してきました」
「まだ、勇者様は戻っていませんが?」
「ああー、そのうち戻るでしょう」
恐らく勇者は、1週間位帰ってこないだろう。
「なるほどそういう事ですか。さすがですな」
さすがギルド長だ、これだけで全て理解したようだ。
「ギルド長、僕たちは冒険者登録をしたいのですが」
「おお、ではS級ですな」
「違う、違う」
「これは失礼しました。今はありませんが、SSS級でどうでしょうか」
「いやいや、F級でお願いします」
「えーー、何故ですか!」
「あまり、目だちたくありませんから」
「ふむ、そうですか。どうせすぐに目立つのに……」
なんかギルド長がぶつくさ言っているけど、僕は、この世界でノコとして平穏に暮らしたいと思っている。
S級冒険者など一つの国に五人くらいしか居ない。
そんな目立ちまくるものになる気はない。
「では、一階へ。ヒュア様はしばらくここに居てください。人を城にやりますのでな」
「はい、分かりました」
ヒュアちゃんが可愛い声で返事をした。
僕と、ローズ、ユーリはギルド長の部屋を後にした。
一階の受付で僕たちはF級登録をすると、ギルドを出て街にむかった。
最初に家を手に入れたいので、街一番の商会に向かおうと思う。
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