第七十三話 美女の正体
「ノコ様、何をしているのですかニャ」
マリーが、扉からのぞき込んでいます。
僕は今、名探偵のように推理をして一つの仮説を立てました。
美女は、このかしらの部屋にいると。
では、どこにいるのでしょうか。
ズバリ床下の隠し部屋だと推理しました。
そのため四つん這いになり、部屋に転がっている剣のさやを手に持ち、床をコンコン叩いています。
床下に部屋の様な空間があれば、音が変化するはずです。
そして、変化があったところにこそ、絶世の神々のような美女がいるはずです。
「あのー、ノコ様。救助も終わり、皆が外で待っていますニャ」
僕の後に普通の人間のサイズに戻ったマリーが立ちました。
四つん這いで振り向いた僕の目に、マリーの黒いレースの、それはもうエッチなパンツが飛び込んできました。
「ななな、なぜ、そんな短いスカートを履いているのですか」
マリーは通常、黒い魔女の服を着ています。
いつもの服のスカートは長いはずなのに、今日は何故か超短いスカートを履いています。
見る気はないけど、不意に目の中に飛び込んで来れば当然動きが止ってしまいます。
「うふふ、普段のノコ様は女性にまるで関心がないニャ。でも今は、なんだか女の事ばかり、考えているような気がするニャ。だったらこの方が面白いのかニャーと思ったニャ」
なんだか、頬を赤らめて嬉しそうな顔をしています。
「ぼ、僕はマリーと遊んでいる暇はないです。外にいる戦女神のあるじの、絶世の美女を探して上げないといけません」
マリーは僕の気も知らないで、面白がっています。
「外に出れば、戦女神のあるじが、見つかっていることはわかるニャ。だから絶世の美女も、だれかすぐにわかるニャ」
マリーはニヤニヤ笑っています。
さすがにマリーです、すでに絶世の美女を救い出したようです。
僕は扉を開けて、かしらの部屋から外に出ました。
部屋の外には、ここにいる全員が頭を下げて平伏しています。
全身真っ赤の化け物の様な戦女神の姿もありました。
「うわっ」
僕は、こんなことになっているとは思わずに、驚いてしまいました。
「皆ニャー、楽にしていいニャー」
マリーが僕の横に立ち声を掛けると、戦女神が僕に駆け寄ってきます。
そして泣きながら抱きついて来ました。
戦女神の体は、全身ぬめっとして、すごく気持ちの悪い触感でした。
それは、血のプールで泳いだ後の人の様に感じました。
そして、頭の悪い僕でも全てを理解しました。
僕は、戦女神の体をギュッと少しだけ力を入れて抱きしめました。
「心配、おかけしました」
「うわあああーーっ」
戦女神が、膝から崩れ落ちて大声で泣き出しました。
この二人は僕の家で働く可愛いエルフのメイドさんです。
その二人が、こんなに真っ赤になるまで返り血を浴びて、必死で僕を探してくれていたのです。
「……」
二人の苦労を考えると、僕はしばらく掛ける言葉が出て来ませんでした。
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