第七十一話 使用人と配下
「うわーー、二人組だー。二人組が来たぞー」
外が騒がしくなりました。
二人組と言うことはうちの可愛いエルフさんの二人でしょうか。
「な、何だ化け物か? うわあ化け物ダー」
何だか化け物と言われています。
じゃあ、うちの働き者のエルフさんではありませんね。
「き、きさまー、ここに何の用だ」
お、これは、おかしらさんの声です。
男気を出して化け物に話しかけているようです。
「私達は、さらわれたあるじを探しています。ここにいませんか?」
化け物の割にはすごく可愛い声です。
「あるじと言われてもわからんだろう。何か特徴を言ってもらわねーとな!」
「わが、あるじは神々しいほどの美貌の持ち主です。見たことはないですか」
「あっ」
んっ、人さらい共の声が合わさった。
一人一人は小さな声でも、全員の声が合わさったら、結構大きな声になって、かしらの部屋にいる僕にまで聞こえた。
って、ことはこいつらそんな美人に心当たりがあるんだな。
「ひゃーはっはっは、知らねーなー、他をあたりな!」
「そうですか。それは失礼しました」
いやいや、どんだけ馬鹿正直やねん!
絶対いるに決まっているのに、化け物と呼ばれた二人は、悪党の言うことを真に受けて帰ろうとしています。
「いますよー。そこの中にいます」
女性の声がしました。
きっと檻に捕らえられている人でしょう。
勇気ある行動です。
「今言った奴を殺せー」
かしらが叫びました。
「させません」
「ぎゃーー」
恐らく、勇気ある女性を殺そうとした手下を、化け物と呼ばれた二人組が助けたのでしょう。
「構わねえ、全員やっちまえー!!」
「うわーーっ」
喊声があがった。
「ぎゃっ、ぎゃっ、ぎゃーーっ」
次々悲鳴が上がります。
やられているのは人さらいの手下のようです。
でも、S級冒険者を楽々やっつける奴らです。
いくら化け物でも大丈夫でしょうか。
「ぎゃーー」
相変わらず聞こえる悲鳴は男の悲鳴ばかりです。
でも、こいつらやばくなってきたら、化け物の主人を人質に取ると思います。
大丈夫でしょうか。
「おいてめー、滅茶苦茶強い女二人の配下と町へ来ていたのか」
なぜか、僕のところに、おかしらと若頭が来ました。
「いいえ、僕が一緒だった二人は、配下ではありません。家のお掃除とか洗濯とかをしてくれる使用人ですよ」
「な、なんだって」
若頭が驚いています。
「そ、そんなことはどうでもいい、さっさと人質にして連れ出せ!!」
「あーあー、とうとうやってしまいましたね。僕に剣を向けたら配下が怒って暴れ出しますよ」
「そんな者がどこにいるんだ」
「ここにいますよ。鬼より恐い僕の、一番の配下が……」
僕は肩から掛けているカバンに視線を移した。
そう、ここにこそ黒猫マリーがいるのです。
そして、カバンがあり得ない動きをし始めました。
「ヒッ」
かしらが、その気持ちの悪い動きを見て、小さく悲鳴を上げました。
そしてカバンの蓋が開き、そこから黒い霧のような、もやが舞い上がり、檻を壊し屋根を吹き飛ばしました。
そして、もやの中から巨大な悪魔のような魔女が登場しました。
その姿は、胸から上が輝くような美女、その下は黒い毛むくじゃらの体、背中には先日見たツェシュちゃんの羽を生やしています。
下半身はまるで幽霊のように、だんだんもやのようになり膝から下は消えています。
「よくも、わが、あるじに剣を向けたな」
巨大な大魔女様が、二人の悪党をにらみ付けます。
「ななな、なんだおまえは、なんなんだおまえはーー」
かしらと若頭が尻餅をついて、そのまま後ずさりします。
「これが、僕の配下です」
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