第六十六話 これでいいのだ
数日の後の休日の朝
私はノコ様のお屋敷に呼ばれて、食堂で朝食を食べています。
ダンジョン攻略に行くというのに、こんなのんびりでいいのか少し心配です。
先日、勇者様と北のダンジョンへ行ったときの事を考えると、全く雰囲気も準備も違うので面くらっています。
「じゃあ、学園組の食事も終った様なので現地へ行きましょう。ローズ全員をパーティーに加えて、移動魔法をお願いします」
「はい、わかりました」
ローズ様の返事が終った次の瞬間、私達は南のダンジョンの前に着きました。
ダンジョンの前には四十人ほどの人がいます
驚いたのは、私の妹のヒュアがこの中ではマリー様、ローズ様に次いで古参だという事です。
当たり前の様にノコ様の横でニコニコしています。
そしてもう一つ驚いているのは、全員が荷物を持っていないことです。
勇者様と一緒の北のダンジョン攻略の時には、重い荷物を持たされてそれだけでも大変でした。
「ローズ、森の中の魔獣を倒して、少し経験値を稼いでおきましょう」
「はい、フラッシュライン」
ローズ様が言い終わると同時に、ローズ様の上げている手の先から太い金色の光が天高く柱の様に立ち上がり、上空で無数に分かれ森の中に光が落ちて行きました。
その後、ノコ様の側近以外の人が何度も光輝きました。
私も数十回輝いて、レベルがあがりました。
「ゲラゲラ、すごいねー、森の魔獣が全滅しちゃったよ。これだけの魔獣を倒してレベルアップをしないなんて、姉御はどれだけ高いレベルなんだー」
S級冒険者のサビアさんがあきれて笑っています。
通常経験値は、魔獣を倒した人に半分、残りをパーティーのメンバーに等配分されます。
この森の全部の魔獣から入った経験値の半分で、ローズ様はレベルが一つも上がらなかったのです。
「では、ダンジョンへ入りましょう」
ノコ様の言葉で全員中へ入りました
ダンジョンの中も、ローズ様の魔法で全員次々レベルが上がりました。
「ノコ様―、ありがとうございます」
ツェシュさんがノコ様にすがりついて、泣いています。
親友がクラスアップして自我を取り戻したということです。
「そうですか、五人の方も血が飲みたくなったら、この中の人の血にして下さい。他の人の血は決して吸わないようにして下さい。ツェシュさん五人の面倒は見てあげて下さいね」
「はい、たぶん私達は血を吸わなくても大丈夫です」
「えっ、どういうことですか」
「クスクス、ノコ様の所の食事の方が血よりも美味しいので、それを食べていれば血を飲みたいと思わないで済みます」
「はっ、そ、そんなことがあるのですか、初めて知りました」
ノコ様が本当に驚いているみたいです。
その後ツェシュさんは、親友五人にこれまでのいきさつを一生懸命説明しています。
ダンジョンの魔獣が瞬殺され、あっという間に二十階層まで来ました。
前回は別のダンジョンでしたが、二十階層では死にそうになりました。
私は少し不安で緊張しています。
「フラッシュライン」
不安は杞憂に終りました。
最初は皆さんと魔石を一生懸命集めていましたが、この頃になると誰も集めなくなりました。
そして最後の階層百階層に到着しました。
ダンジョンマスターは、ミノタウロス、ケンタウロスの二人組でした。
ここで、ローズ様が素手で殺さないように痛めつけて、大人しくさせたら、ノコ様を紹介して、ダンジョン攻略終了となりました。
「さあ、こんな所でいいでしょうか、そろそろ帰って晩ご飯にしましょう」
ノコ様の一言で、全員がお屋敷に帰り着きました。
結局、ローズ様以外はついていっただけでした。
サビアさんとシロイさんの話では今日参加した人全員が、S級冒険者よりはるかに高いレベルになっていると言うことでした。
こ、これでいいのでしょうか。
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