第五話 罪と罰
「おい、二階の奴らが帰ってこねえ。全く寝ている奴を殺すのに、何手こずってやあがる。お前達見てこい」
階下から賊の声が聞こえる。
僕は部屋の三人を入り口に背を向けて立たせた。
ローズにはベッドに座って、美しい顔をドアの正面に向けてもらった。
「くそーどこにいるんだ」
「おい居るぞこの部屋だ」
賊は三人だった。
「ち、しょうがねえ奴らだなー、綺麗なねーちゃんだからって突っ立っちめーやがって」
「ひええーーーっ!」
三人の賊が腰を抜かした。
部屋のゾンビ三人組に振り向いてもらったのだ。
「ぎゃーーーっ」
当然その後は噛みついてもらった。
これで六人のゾンビの完成だ。
そしてまた全員背中向きになってもらう。
ダダダダダ
階段を四人の男が駆け上がってきた。
「だ、大丈夫か。なんだ無事じゃねえか。悲鳴なんか上げるんじゃねえよ情けねえ」
四人が部屋に入ったら、六人に襲いかかってもらった。
「ぎゃーーーっ」
「や、やめてくれーーっ」
「助けてくれー」
「ぎゃあああーーー」
全員腰を抜かしてへたり込んで六人の餌食になった。
ゾンビってそんなに恐いかねー。
僕にはよく分からない。
「……」
僕は静かに耳を澄ました。
「もう賊の声はしないね」
「そうですね。これで終わりのようです。で、ノコ様このゾンビをどうするのですか十人分も」
「そのままにしちゃおうか」
「そんなことをしたらまた一週間で、街がゾンビに占領されますよ」
「じゃあ、僕のダンジョンに転送しておいて」
「もう空きが全然ありませんよ。これ以上増やさないで下さいね」
僕の死霊ダンジョンは人気が無い、リスクの割に実入りが少ないからだ。
そのためゾンビの数が増える一方で全然減らない。
もうダンジョン中にぎっしりゾンビがいて、新たにゾンビを入れる隙間が無い。
頭の痛い問題である。
「はいはい、君達ダンジョンから出ちゃ駄目だからね。はいこれで良し」
こうして、ローズに転送してもらって強盗の撃退は完了した。
他の部屋を見て回ったら酷いことになっていた。
一階のレストランも厨房の人が殺されていた。
ホテルの人は脅されていたようだ。
この世界の治安の悪さに呆れてしまった。
翌朝十時。
ギルドに集合して、西のダンジョンに向かう。
皆一杯の荷物を持たされていたが、僕とローズはえこひいきで手ぶらだった。
少し進むと直ぐ昼ご飯になった。
僕は勇者のご飯に興味しんしんだった。
この世界の物を、うまそうにバクバク食べている。
もう聞かずにいられない。
「あ、あの、勇者様」
「んーなんだ、お前めしは食ったのか」
「はい、食べました。一つ聞いても良いですか」
本当のところ僕はゾンビだからご飯なんか食べなくてもいい。
でも食べることは出来るので美味しいものは食べたいと言うことなのだ。
今回本当は食べていない。
「ああ良いぞ、なんだ」
「日本の料理は食べないのですか」
「あー、日本の料理なんかどうやって作ってあるのか分からん」
あーー、こいつ駄目だ使えねー。
「そ、そうですか。ありがとうございました」
僕はとぼとぼローズの所へ戻った。
僕の顔を見てローズが爆笑している。
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