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第四十三話 返事も許されない

 次々空席が埋まり、立ち見の人までいる。

 きっと、カドモス侯爵に逆らう馬鹿の顔が見たいのでしょう。


「そなたがF級冒険者ノコであるな」


 一段高いところに座った、白い髭の偉そうな男が声を出した。


「はい」


 僕は笑顔で答えた。


「ばか者、F級冒険者ごときが、我ら貴族に返事をするなー」

「そうだ、そうだ、声を聞くだけでも汚らわしい」

「下郎が、声を出すなー」


 回りの貴族がザワザワしている。

 僕は返事も許されていないようだ。

 ンデラさんの気持ちがよくわかった。


 結局、僕は何も聞かされず、何も聞いても貰えず、死刑が言い渡された。


 お偉い貴族様が出て行くと、襲撃隊の隊長が檻に近づいてきた。


「ひゃーーはっはっ」


 大笑いしている。

 少し頭にきた。

 貴族が全員いなくなると、僕はまた牢獄に戻された。




 二日後

「ノコ、出ろ!!」


 いつもは憎たらしい牢番だったけど、今日はなんだか優しげな表情だった。

 僕は今日、死刑執行されるのだと気づいた。

 ンデラさんが僕の手をつかんで、涙ぐんでいる。

 頭のいい人だ、僕の行く末に気が付いているようだ。


「くすくす、ンデラさん大丈夫です。心配いりません」


 ンデラさんが首を振ると、ポロリと涙が落ちた。

 そして、僕の体を優しく抱きしめて、離れようとはしなかった。


「おい、いつまで待たせるんだ」


 牢番がいらついたように声を掛けたが、いつもと違って表情は優しげなままだった。

 でも、ンデラさんは体がビクンと反応して、僕からぴょんと離れた。

 よっぽど牢番に酷い目に遭っていたようだ。怯え方が普通じゃない。

 まあ、僕も結構痛めつけられましたけどね。


「では、行きましょう」


「う、うむ……、お前はすごいな。こわくは無いのか」


 牢番が聞いて来た。

 まあ、僕は素直に死刑になるつもりもありませんから、恐いわけがありません。


「恐いです」


 でも、僕は怖がっている表情をして見せた。

 牢番から、衛兵に引き渡され、僕は馬に引かれた堅固な檻に入れられた。

 ガタガタ揺れる檻の隅に体を預けて座っていると、一騎の騎馬が近づいてきた。


「おーーい、ノコさまーー」


「貴様、勝手に囚人に近寄るな」


「うむ、職務ご苦労!!」


「あっ、あなたはまさか……」


「うむ、ゼルバンである!」


「ゼルバン大将軍が何のご用でしょうか」


「少しノコ様と話しがしたくてな」


「本当はなんびとたりとも、死刑囚と話すことは許されていませんが……」


「ふむ、すまんな」


 ゼルバン大将軍が檻の横に騎馬を付けた。


「カドモス領の領民は全部救っていただけましたか」


 僕の方から話しを切り出した。


「全て救出できました」


「そうですか」


「ノコ様は今日、死刑になるおつもりですか」


 ゼルバン大将軍が真剣な顔になった。


「まさか、すでに僕の優秀な配下が暴れる準備を済ましていますよ」


「で、ありましょうな」


「ふふふ、命が惜しい人には、逃げるよう伝えて下さい」


「ノコ様、お願いがあります」


 ゼルバン大将軍が、真剣な表情になりました。

 いったいどんなことを、頼まれるのでしょうか。

最後までお読み頂きありがとうございます。


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