第四十二話 あなたはやり過ぎました
「ふふふ、カドモス様、私は昨日ここについてすぐに、領民の避難を進言したはずです。それを笑い飛ばしたのはカドモス様です。はやくしないと、領民が全滅します」
「ぐぬぬぬ」
「大体、ノコ様は話し合いを求めていたと聞きます。カドモス様の喧嘩は私には関係ありません。では」
「ま、待て、ゼルバン!」
「何ですか」
「その、ノコ様は、今どこに」
「ふふふ、あの方は今、牢獄に死刑囚として収監されていますよ。あなたはやり過ぎました。決して怒らせてはならない人を怒らせてしまったのです。では」
俺の後ろで、カドモスが天を仰ぎ座り込むのを感じた。
俺が領民の避難を進めていると、ガラガラと城が崩れていくのが見えた。
「ノコ様、カドモスの城の地下から、数千人のエルフや獣人、人間の美女が助け出されましたがどうしますか」
ローズが僕に聞いて来た。
「そうだね。カドモスが力を失ったのなら、家の二十人の美女も危険が無いでしょう。全員一緒に家へ帰って、幸せに暮らしていただきましょう。ユーリさんとアクエラさん、デルイドさんに働いてもらいましょう」
「くふふ、分りました」
うーーん、ローズさんの意味深な笑いが気になりますが、まあいいでしょう。皆が幸せになるのだから。
「おい、ノコ出てこい、これから裁判だ」
牢番が牢の前で僕を呼んでいる。
「はーい」
「ぐずぐずするんじゃあねえ、さっさと来るんだ」
いまではすっかり仲良くなったンデラさんが、心配そうに見つめてくれています。
僕は心配いらないよと、笑顔を作って、小さく手を振った。
ンデラさんは、こくんとうなずいて、頬を赤らめている。
「はーー、ンデラさんのかわいさに比べたら、この牢番はかわいげのかの字もないねー、まるで男だよ」
「なんだとー、てめーーー!!」
あーしまった、つい口から出てしまった。
ガス、バキッ
しこたま蹴られてしまった。
まあ神経が死んでいるから、あんまり痛くないですけどね。
僕は裁判所の法廷のような所に連れてこられた。
日本の裁判所の法廷と違うのは、法廷の中央が檻になっていることだ。
僕は檻に乱暴に放り込まれた。
その時に僕の服がめくれ上がって、太ももがあらわになった。
回りの男達の目が、僕の太ももに集まっているのがわかって面白い。
僕は男なのにねー。
ついでにパンツまで見せてやろうかと思ったけど、それを必死で見るであろう男の姿を想像したら、空しくなってやめておいた。
檻に鍵が掛けられると、わらわらと人が入ってきた。
全部カドモスの息がかかった貴族なのだろう、僕を見下ろしてあるものはにらみ付け、あるものはニヤニヤと笑って、哀れみの表情の貴族は一人もいませんでした。
襲撃隊の隊長もいて、僕を見ながら勝ち誇った表情をしている。
きっとここで僕は死刑を言い渡されて、死刑執行されるのだろう。
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