第二十七話 森の掃討
村からモンスターも人間もいなくなり、僕とローズだけになった。
「静かだね」
「そうですね。ここからどうなさいますか」
「うん、森のモンスターのお掃除かな」
「なるほど、ドラゴン族が追い立てるモンスターがいなければ、モンスターからの被害は出ませんね」
「うん、そういう事」
「では、私も行ってきます」
「どうぞ、一杯お掃除して経験値を稼いで下さい」
僕は、村の中で、黒猫マリーと戯れて過ごすことにした。
今の僕の攻撃力は最狂の攻撃、ゾンビ攻撃しか無いので出番無しだ。
周辺の森のモンスターがいなくなるまで、丸二日かかった。
「ノコ様―、わちきはクラスアップしたでありんすー」
アクエラさんが頬を染めて駆け寄ってきた。
アクエラさんは、魔王ゾンビマスターから魔王ゾンビロードになったということだ。
そしていつもの様にスッポンポンだ。
「アクエラさん! はしたないのじゃーー」
そういうユーリさんも裸ですけどね。
まあ僕は、黒猫マリーで顔を隠して見ていませんけどね。
「ローズー、この二人を何とかして下さい」
ローズを見たら服のいろんな見えてはいけない所が破けている。
目が合うと、ニヤリと悪魔のような笑顔になった。
少しいけないところが見えてしまった。
「三人そろったのなら戻りましょう」
「あのどちらへ」
「森の外れの陣へ」
「おい、見つけたぞ! この女ども!!」
はー、陣に着くなり、ごろつき隊長に見つかりました。
めんどーくさい。
「人違いじゃありませんか?」
「なにー、この野郎、てめえらみてーな美人を、見間違えるわけねーだろー!!」
「げらげら」
回りでごろつき兵士が品のない笑い声を上げています。
どーすっかなー。
痛めつけてもいいけど、後がめんどくさそうだしなー。
「姉御―!!」
この声は、サビアさんかな。シロイさんもいる。
「サビアさん、シロイさん」
「おっと俺もいますぜ」
「ティコーさん」
「ノコ様どうされました?」
シロイさんが分かっているくせに、ごろつき隊長をにらみながら、僕に質問します。
僕は返事をせずに視線をごろつき隊長に移し、困りましたみたいな表情をします。
「てめーらは何もんだー、う、S級冒険者か」
ごろつき隊長が、サビアさんとシロイさんの階級章を見て、少し焦りました。
「チッ、行くぞお前ら」
何とか穏便にごろつき部隊とさよならできました。
「ありがとうございます。おかげで助かりました」
「ふふふ、ノコ様ならあんな連中、赤子の手をひねるようなものでしょうに」
「では……」
僕は、めんどくさそうなので、逃げだそうとした。
「ちょっとまったーー!!」
サビアさんが大声を出しました。
周りにいる大勢の兵士や冒険者から、少し注目を浴びてしまいました。
「そうですよー、ノコ様、勝手に行かないでください。私達はずっと探していたのですよ。合流する為に!」
今度はシロイさんです。
けっこう怒っているのか、眉毛が吊り上がっています。
「あのー、隣のドリュ村で美女がゴブリンの大群を退治したって聞きましたが、あれは姉御たちじゃねーのですかい」
ティコーさんがどうしても聞きたかったのか、口を挟んできた。
ティコーさんまで姉御呼ばわりしている。
まあ、見た目は若いですが、全員年上ではありますが……。
「そ、それは、聞いていないのですか勇者さまが……」
「勇者様は、一番最初に逃げ出して、この陣で最初に食事をしていたと聞きましたよ」
シロイさんは聞き取り調査をしているみたいだ。
あのクズ勇者めー。
「大体、そのやり方こそがノコ様の、いつものやり方じゃねえですか」
「はーーっ、いつものって、どういうことですか」
「何でもかんでも、勇者の手柄にするやり方です!!」
三人の声がそろった。
「ついでに、ドリュ村の東隣のトユウ村を救ったのも、勇者じゃなくてノコ様ですよね」
三人の声がまたもそろった。
あまりの剣幕に、僕はうなずくしか無かった。
「ノコ様―、やっぱりかーー、すげーー、すげーー!」
「ノコ様―、あーやっぱりー、すごい、すごすぎですー」
「ノコ様! やっぱかよーー、すげーぜ、すごすぎだぜー」
サビアさんとシロイさん、ティコーさんが同時に歓喜の声をだしました。
おかげで僕は最初のノコ様以外、何を言っているのか分かりませんでした。
僕は、せいとくのふとこじゃないから、同時に言われてもわからないよー。
「あなたが、ノコ様ですか」
騒ぎを聞きつけて、一人の立派な騎士が笑顔で近づいてきた。
誰だ、この人?
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