第二十四話 深い森の中へ
街を出て四時間ほど歩いたら、森の手前の陣に付いた。
そして、陣で一泊することになった。
「あー、ローズさん、ここ、何かおかしくありませんか」
「なにがですか」
「男がいません」
「ぎゃははー、当たり前なのじゃ。女性専用なのじゃー」
ユーリさんが爆笑している。
「なななな、なんでー」
「ノコ様が男性用に泊ると襲われるからです」
うん、ローズは気を使ってくれたんだね。
「こちらにいると私達に襲われますけど……。ふふふ」
「ローズさん、そういう冗談はやめて下さい。まじ恐いから」
僕はアクエラさんとユーリさんの間に、はさまれて横になり手をつかまれた。
「ノコ様が変な気を起こさないようにする為なのじゃ」
ということらしい。
ローズは失格だったからと言われて、ユーリさんの横でぶつくさ言いながら寝ころんでいる。
翌日は朝八時に出発した。
ここから先は深い森の中にはいる。
道だけ木が切り倒されているが、道以外は暗くなるほど木が生い茂っている。
夕方、まだ明るいうちに村が見えてきた。
だが、その村から異様な気配がする。
「くふふふ」
うちの三人衆も気が付いているようだった。
部隊はこの重苦しい空気に、気が付いていないのか、ズンズン進んでいる。
「た、大変だーー。全軍撤退―」
「全軍撤退―、全軍撤退―」
「全軍撤退―、全軍撤退―」
声と共に勇者も兵士も冒険者も一目散に逃げて行く。
僕たちは荷車の影に隠れて静かになるのを待った。
静かになったので村に近づいた。
こんな場所にある村だから外壁が作られているのだが、その外壁にびっしり隙間無くゴブリンが張り付いている。
すでに村人は避難しているはずだが、兵士と冒険者が駐留している。
「いったいどの位のゴブリンがいるのでしょうか?」
僕が独り言のようにつぶやいた。
「五千位ですね」
ローズが微笑みながら答えてくれた。
「ユーリさん、アクエラさん、気を付けて下さい」
「あんな程度なら気を付けなくとも、一人で十分なのじゃ」
「いいえ、そうではありません。ゾンビにしないように、気を付けてほしいのです。二人が傷つければゾンビになってしまいます。武器を使うか、素手で殴るなら皮膚を破らないように気をつけて欲しいのです」
「わかったのじゃ」
「わかったでありんす」
「そして適当に戦って、森に入って見えないところまでおびき寄せて下さい。その後はお任せします」
「ひひひっ」
二人は悪い笑い声を上げて、舌なめずりをした。
「ローズ、二人に武器を出してあげて下さい」
「はい」
二人は武器を受け取ると村へ向かって走り出した。
二人が向かう村からは、悲しい悲鳴が上がっている。
じゅうりんされているのだろう。
そしてゴブリンの笑い声も聞こえる。
最後までお読み頂きありがとうございます。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「頑張って!」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。