第二十話 本当の心
「私は、ゾンビの間の記憶はないのじゃが、それ以外の記憶はしっかりしているのじゃ。その上で憎んでなどいないのじゃ。これが本当の心なのじゃ」
ユーリさんが少し照れながら言う。
アクエラさんが大きくうなずいた。
「しかし、それがスキルの……」
僕が全部言う前にユーリさんが続けた。
「ならばヒュアちゃんはどう説明するのじゃ。スキルは関係ないじゃろ」
ヒュアちゃんが赤くなって、くねくねしている。
そうだ言われて見れば、確かにヒュアちゃんは僕のスキルは関係ない。
でも、女の人はこんな小さなうちから恋をするのだろうか。
「そうか、言われて見れば……」
「だから、私の気持ちはそのまま受け止めればいいのじゃ」
抱きつこうとしたユーリさんを、ローズとアクエラさんがすごい形相で止めている。
こんな会話をしていたら、ホベルトさんが意識を取り戻して歩いてきた。
「ひ、姫を宜しくお願いします」
「じゃあ、ノコ様と一緒なら護衛はいらないのですね」
ヒュアちゃんがそう言うと、ぴょんぴょん跳びはねて喜んでいる。
んーちょっと待てよそれって、僕がヒュアちゃんの面倒を見るって事か?
「じゃあ、ホベルト、私は今からノコ様の家へ遊びに行きます。いいですね」
「はい、その様に陛下には伝えておきます」
ヒュアちゃんがキラキラした目で僕を見ています。
そんな、顔を見たら、断れませんよね。
一応ローズの顔を見てみた。
笑いながら、うなずいている。
ヒュアちゃんが、ずっと家に居て帰らないから、城から使いの人が来た。
使いの人が少しヒュアちゃんに耳打ちすると。
「ノコ様、少しやらねばならないことがあるようです。しばらく城に帰ります。ううっ……」
泣くほど嫌なようだが、王族としての公務があるようだ。
ヒュアちゃんはしばらく城に帰ることになった。
なので僕たちは久しぶりにギルドに行く事にした。
少し街をぶらぶらしながら、今日は歩いてギルドの前についた。
すると、ギルドの中がザワザワしている。
「バカヤロー、俺はこの目で見たんだ。トロールキングが平伏したんだ!」
「F級の冒険者にだろう。そんな訳あるかー」
「本当だ。だから勇者が解決したなんて全部嘘っぱちだー」
「ぎゃあはっはっー、どう考えてもお前の方が嘘っぱちだろう!」
僕は、今、中に入ちゃあいけない気がした。
だが、うちの三人衆はそういうのは気にしない人達だ。
そのままズカズカ入ると受付嬢に話しかけて、アクエラさんの冒険者登録をした。
当然F級での登録である。
「あの、二階へあがってギルド長室に行っていただけますか」
「いえ、今日は登録だけに来たので帰ります」
すごく面倒ごとの予感がしたので帰ろうとした。
だが、間の悪いことにギルド長が降りてきた。
「おおーー、ノコ様、ローズ様、二階へどうぞー」
ギルド長は満面の笑顔である。
そして、さっき、ハルトの街の事を話していた冒険者にバレたみたいだ。
唇がわなわな震えている。
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