第二話 ギルドデビュー
「久しぶりの地上はいかがですか」
「いいね、気持ちが良いよ。何年ぶりだろう」
「三十四年ぶりですね」
「ノコと同じ年じゃ無いか。そんなに長く眠っていたのか」
僕とローズが会話しながら街を歩いていると、回りの様子がおかしい。
「すげー美女姉妹だなー」
ザワザワしている。確かにローズは美女だが、姉妹というのはよく分らない。
マリーは魔法で黒猫に姿を変えているし、僕は男だ。
「つきましたよ」
ローズが扉を開けてズカズカ入っていく。
よくある普通の冒険者ギルドだ。
「あ、あなたはローズ様ではありませんかー!!」
扉の中に入ると、階段を上っている爺さんがローズを見つけ駆け寄ってきた。
「だれですか、あなたは?」
ローズが怒りにも似た表情で、爺さんに返事を返す。
「わしは、ここのギルド長です。四十年くらい前にローズさんのパーティーで、荷物持ちをしていました。憶えていませんか?」
「えっ、あー、あの子ですかー、ずいぶんお爺さんになりましたね」
「ふふふ、まだ五十九歳若い者には負けません。ローズ様は歳を取らないのですね。あの時のままです」
「当たり前です、私は賢者ですからね」
「そ、そうでしたな。して、こちらの方は」
「ノコ様です」
「ノコ様?」
僕をジロジロ見てくるのでぺこりと頭を下げておいた。
うん、ノコらしく振る舞えた。
「ローズ様、ノコ様、ひとまずこちらへ来ては貰えませんでしょうか」
僕たちは、ギルド長に案内されて、二階のギルド長の部屋に案内された。
マリーは黒猫の姿のままローズのカバンに入っている。
応接用のソファーに座ると、ギルド長が話し出した。
「ローズ様、力をお貸し下さい」
「お貸し下さいと言われても、それだけでは分りません。ちゃんと説明して下さい」
「あーそうですな。実は、この国の四番目の姫様が、さらわれましてな。その救出作戦に参加してほしいのです」
「どうしますか、ノコ様」
「ふふふ、面白そうじゃ無いですか」
「ノコ様が良いのなら良いのですが」
「賊は西のダンジョンの四階に隠れています。何も要求せず居場所を伝えてきました。恐らく実力を示してから金品の要求をするつもりでしょう」
「わかりました。で、隊長は誰ですか」
「それが、召喚された異世界勇者様です。とても嫌な奴で、今回も失敗するのでは無いかと不安だったのです。ローズ様が一緒なら安心です。どうかお助け下さい」
「あー、ギルド長さん、私の主人はいまノコ様です」
「そ、そうでありましたか。失礼、ノコ様どうか助けて下さい」
「クスクス、召喚勇者ですか。何故そのような方を召喚したのですか」
「この国をドラゴン族から助けてもらう為に、呼んだのです」
そう言うとギルド長は暗い顔になった。
この世界には、魔王もドラゴンもいる。
ドラゴンが襲ってくるとなれば焦って、勇者召喚をすることもあるだろう。
ふふふ、来る方がましな勇者ならね。
さてどんな、勇者が召喚されたのか楽しみだ。
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