第十三話 ゾンビ魔王
「ぎゃーーーっ」
僕とローズは驚いた。後ろから魔王アクエラさんの声がしたからだ。
「ノコ様に手出しはさせぬのじゃ」
言葉と共にユーリさんがドラゴンの姿に戻った。
ガラガラ
町の外壁が崩れ落ちた。
全身がサファイヤのように青くキラキラ輝く美しい巨大なドラゴンが現れた。
ダンジョンにいたときは、ただのゾンビだったので白く曇った青だったのが、クラスアップして昔の姿に戻りとても美しい、そして少し大きくなったように感じる。
トロールキングの十倍ほどもあろうかという巨大さだった。
「ちっ、ドラゴンでありんすか。しかもキングクラス、雌だからクイーンでありんすか」
正式にはドラゴンクイーンのゾンビロードだ。
ダンジョンで高位のネクロマンサーとその部下を食べて経験値を大量に獲得して二階級クラスアップしている。
「私は魔王といえども遅れはとらぬぞ」
「面白いでありんす、ぶっ殺してあげます」
「まてー!!」
僕は少し大きめの声を出した。
「……」
二人が無言で僕の方を向いた。
「ユーリさん、少し驚いただけです。アクエラさんはゾンビなので僕の配下です。理由無く喧嘩する必要はありませんよ。アクエラさんもいいですね」
「……」
二人は顔を見合わせて黙ってうなずいた。
「ローズ、他の三つある魔王のゾンビは、家の地下にいます外には出さないようにしましょう」
「分かりました」
あの戦いのあと魔王のゾンビは家の地下に転送したのを忘れていた。
家の番犬代わりのゾンビ五体の内三体は魔王ということを忘れないようにしよう。
「冥府王、今はその姿でありんすか?」
「そうです、ノコと呼んでください」
「わかったでありんす。ぬし様」
うん、わかってないよね。
「ぬし様は、かわいくなってしまわれました。前の憎たらしい姿よりとても好みでありんすえ」
「アクエラさんも美しいですね。でも僕は美しい人は恋愛対象ではありませんので、いいですね」
「はいでありんす。わちきは嫁でいいでありんす。ぬし様」
うん、なにもわかっていませんね。
アクエラさんの見た目は、黒い天然パーマの髪に褐色の肌、徹夜明けの様な目をしているけど、普通に美人である。
「じゃあ、ローズ。ギルドに報告に戻りましょう」
「のああーーー」
相変わらずギルド長は、いい驚きっぷりです。
「ただいま戻りました」
「お早いお戻りですな。やはりノコ様にも無理でありましたか?」
「な、なんじゃとー、失礼なことをいうなー」
「そうでありんす」
「で、では、モンスターを全部やっつけたと言うことですか」
「いいえ、やっつけてはいません」
「ぬし様、あれは最早やっつけたとおなじことでありんす」
「いえ、平伏させたのだからそれ以上じゃ」
「す、すごいですなー、この短時間ですべて解決されたのですな」
ギルド長がしきりに感心している。
「当たり前なのじゃ、ノコ様は最強なのじゃ」
「当たり前でありんす、ぬし様は最強でありんす」
なぜか、ユーリさんとアクエラさんがとても自慢そうだ。
「ところで一人美人が増えていますがこの方は?」
「わちきは、アクエラでありんす」
アクエラさんが愛嬌のある笑顔で答えた。
「そうですか、アクエラ様ですか。何か聞いたことがあるような、ないような」
「ノコ様ーーー!!」
ドアが勢いよく開いてヒュアちゃんが飛び込んできた。
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