表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/53

女子の髪の変化に気づける男は変態(いい意味)


太陽が地平線に隠れ始め、夜の訪れを匂わせる。


 俺は球技大会の後始末を終え、電車に揺られて帰路についていた。

 

 満員電車ではないものの、座る席がないのは運がないのかもしれない。しかし、座ったら座ったで寝てしまう可能性もあるのでそれでもいい。


 今日は疲れた。


 バレーの試合を始め、副会長はキャラが濃いし、アンナや会長との一件など色々あった。

 

 球技大会だから普通の授業より楽だと考えてたが、見通しが甘かったようだ。

 

 目を閉じるとしっとりと感じた人の体温と、柔らかい感触を思い出す。


 俺はバカだな


 

 電車から降りてホームまで行くと、見慣れた風景が安心感を与えてくれる。最近引っ越してきたはずなのに、数ヶ月経つとだいぶ見慣れた。


 (ほう)けていると、サイレンの音が変わるように何かが近づいてくる。

「しゅーーんちゃーーん!」


「おぉ、こんな所で抱きつくな」

 

 人目を憚らず愛生は抱きついてくる。引き離して歩こうとしても一筋縄ではいかない。


「同じ電車なら一緒に帰れたんだね〜」


「そうだな」

 

 無理矢理愛生を引き離すと、距離をおくために歩き始める。


「なんか調子悪い?」

 愛生は俺の顔を覗き込み、不思議そうに聞いてくる。


 相変わらず感が鋭い。てか、歩きながらなのに顔が近い。

 

「まぁ、少し疲れたな」


 俺の言葉に納得がいったのか、愛生は身を引いて微笑む。

 

「生徒会のお仕事は大変だったけど、楽しかったね〜」


「おー」


「しゅんちゃんが生徒会に入るとは思わなかったよ〜」


「おぉーーおぉん?!?!」

 

 生返事をしていたが、思わず愛生の方に振り向いてしまった。

 

「それ、聞いてないんだけど」

 

「え?もう届け出してあるって会長さんが言ってたよ」


「……マジか。ま、いいか」

 

 無断で進めるなんて会長マジでやってくれたな。でも今はそんなことより早く帰って寝たい。


「めんどくさがりなしゅんちゃんが嫌味を言わないなんて……大丈夫?変なもの食べた??」


「そんな事ねぇよ。給料でるならやってもいいってだけ」

 

 俺は適当に流そうとするが、愛生の足が止まり


「…………会長さんに何かされた?」

 

 と声色を黒くしていう。全て見透かされているような表情は僅かに憎悪があった。

 

「な、なんもねーよ」


 俺がそう答えると、愛生の顔は元に戻る。

 

「へーーーーー、そうなんだ〜」


「その長い溜めはなんだ」


 俺たちが歩いていると冷めた風が吹き付け、髪を靡かせる。この時期でも夜になるとまだ冷える日がある。


 

 そういえば、隣の愛生を見ていると気になることが一つある。

 

「なぁ、髪の毛染めたか?以前より色が薄い気がする」


「え?何もしてないよ〜」


「プールいったとか?確か塩素は色が薄くなるらしいし」


「プールは行ってないねぇ〜」


 俺の気のせいか。

 

「気のせいならいいんだけど、俺たちって何が起こるかわからねぇわけだし」


 


 この時に気づいていればよかったんだ。

 愛生の微細な変化に。


 でも、そんなことに気づくのは不可能で、気づいた時には手遅れだった。



 それは、俺も同じだ

最後までお読みいただきありがとうございます!


これから約2、3週間は引っ越し関係で投稿が難しくなると思います。

それでも1週間に一度は投稿したいと考えているので、ぜひ応援の方よろしくお願いいたします!


よろしければブックマーク、評価お願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 最後の1文で、読み進たいって気持ちが倍増しました! しゅんちゃんたちこれからどうなるんやぁ気になって気になって仕方ない✨ [一言] ほんと最高です✨
[良い点] 今回も愛生のキャラと不穏な雰囲気が漂う一見普通でも微シリアスの入るいい回だったと思います。 この先どう展開していくのか、とても楽しみです。 [気になる点] 誤字と思われる部分があったのでお…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ