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異世界鑑定士と世界迷宮  作者: tipper
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”力”の測定

 十文字は話し終えると、顔に微笑を浮かべながら少年たちの答えを待った。そして話を聞いた彼らもそれぞれが今聞された話について考えていた。いかにもつじつまが合わないところがある。そもそもかってにつれてこられて何が勇者だ。身勝手にもほどがある。しかし、それをそのままバッサリと断り切れるほど、彼らは非常でもない。最も、この際それが非常かどうかはあいまいなところだが。…数刻ほど悩んだ後、五人の中のリーダーである彼女―黒頭 墨は力強く答えたのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 ―十分後、辛亥たちは大広間に集まっていた。

「それでは皆さん、力の測定を行いたいと思います。」

十文字らに協力することにした辛亥たちは、まずは自分たちの勇者としての力がどのようなものか調べることとなった。力の測定。それは神々から分け与えられる能力がどういったものなのかについて調べるものである。この場所には、どうやら大臣と思わしき人々が数人来訪していた。彼らは異世界から召喚されし勇者とその一行の見た目とその能力を品定めしに来たのだろう。


 試験官のような大男が前に出て説明を始めた。


「測定の方法は単純明快で、魔法陣の中で山羊皮紙に自分の血を少しつけることによって、体力、魔力、属性、固有能力等々が記され、そしてそれが分け与えられます。属性には熱魔法に適性がある焔、生命の魔法に適性がある樹、創造魔法に適性のある地、妖術などに適性のある嵐、空間魔法に適性のある流、天変地異を起こすほどの威力を持つエーテルの六属性があます。固有能力は最初はあまり協力ではない例が多いですが、レベルが上がれば協力になる例も多いため、落胆はしないようにしてください。全員の測定が終わった後、外で固有能力を試してみることにするのでそのおつもりで。それでは、準備ができたようなのでどうぞ始めてください。」


 まず始めに墨が測定を行うことになった。彼女が紙に自分の血を垂らすと、魔法陣から光の柱が立ち上り、その後虹色の雫のようなものが紙に落ちた。そして結果が紙に現れた。

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 黒頭 墨    性別:女性     17歳

Lv:5 

体力:7000/7000

魔力:12500/12500

属性:エーテル

職業:勇者

固有能力:棒術Lv2・統率Lv1

《起源の教皇》六大魔法すべてに適性があり、そのすべての魔法を使いこなせる。

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 周りにいる人間から感嘆の声があがる。それもそのはずだ。魔法の属性は一人一つずつ属性が分け与えられる。彼女もまた属性はエーテルということになっている。しかし、彼女の能力は六大属性すべてが使用できる。それらをすべて使いこなすということは、あらゆる魔法を習得できることと同義である。しかも、レベルがまだ5にもかかわらず常人の八倍以上の魔力を持っている。まさに天性の魔導士であるといえよう。


 次に筆の結果である。彼が血を垂らすと魔法陣全体に影のようなものが出現し、そして文字が現れた。内容はこの通り。

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 黒頭 筆    性別:男性     16歳

Lv:5

体力:10000/10000

魔力:5000/5000

属性:エーテル

職業:拳闘士

固有能力:体術Lv2

《黒力の魔球》自分を中心にした5メートルの球体を展開し、その中の重力を自由に調節できる。

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 重力魔法。世界でも名高き十二聖人の一人以外誰も持ち得ていない、高名にして希少な能力。そんな能力を持つということで大臣たちの評価は高いように感じられる。しかし、制限があることから不安要素も感じられるようだ。

 

 次に、越後の結果である。彼が血を垂らすと、魔法陣の中が霧のようなものでで真っ暗になった。晴れたときに文字が出現した。

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 佐藤 越後    性別:男性     16歳

Lv:5

体力:6000/6000

魔力:8000/8000

属性:嵐

職業:魔術師

固有能力:策謀Lv1・器用Lv2

《人形の王国》制作した人形の使役・操縦が可能。

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 前の二人と違って越後に対する意見はパッとしなかった。しかし、前の二人が希少すぎるということで、まあ考えていたものよりも良かったという評価となった。また、嵐という属性はエーテルに次いで強いといわれる属性だった。まさに及第点といったところだろうということで丸く収まった。


 続いて鏡花の結果。彼女が血をつけると、魔法陣を超えるほど大きい雲が出現した。その雲が薄まったとき、文書が現れた。

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 八雲 鏡花    性別:女性     16歳

Lv.5

体力:5000/5000

魔力:7500/7500

属性:流

職業:僧侶

固有能力:回復魔法Lv1

《八雲立つ水月》設定したものを別次元から収納・取り出しができる。

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 鏡花の評価は圧倒的に高かった。魔力や体力は決して多くなかったが、能力が魅力的過ぎた。別次元に転送できるということは、迷宮の準備の徒労が一気に少なくなる。それに、国家としての問題等も解決できる可能性。大臣たちはすでに隅のあたりで話し合いをしているようだった。


 そして最後に辛亥が魔法陣に入った。周りの人々は期待していた。全能の魔導士、重力魔法、人形師、そして国家の問題すら解決するやもしれない能力。この時点で異世界の勇者一行はとてつもないものだった。もうここまで来たら最後の少年の能力も我々が感嘆するものに違いないと感じていた。


 しかし、そんな辛亥の結果は彼らの期待とは大きく外れたものとなった。彼が血を垂らすと、出てきたものは“眼”だった。辛亥たちは後々知ることになるのだがそれは邪神の時代のシンボルの一つだったらしい。そして、辛亥の結果が紙に現れた。

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 平谷 辛亥    16歳     性別:男性

Lv;5

体力:7500/7500

魔力:4000/4000

属性:ダート

職業:鑑定士

固有能力:理解力Lv2

鑑定(アイズ)》指定したものの名称とおおまかな特徴がわかる。

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 状況がよくわかっていない辛亥たち異世界組以外の人々は動揺していた。そして、そのことばは辛亥たちにも大臣たちの小声聞こえてくる。鑑定魔法という魔法が存在するにもかかわらず、なぜこんな能力なのだ。これでは役立たずと同然ではないか。もう一つの能力もなんだ、理解力とは。そして極め付きに、

 「ダートですか…」 「あれはたしか微弱な旧時代の…」

 という声。明らかに辛亥に対する視線がいぶかしいものに変わってしまったのだった。


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