召喚 1
いろいろと事情があって投稿ができませんでした。すみません。駄文ですが、読んでいただたらうれしいです。
「ようこそおいでくださいました、我らが勇者様!」
異世界転生などの物語でよく見かける大広間、そこに展開された魔法陣の上に彼らは呆然と立ち尽くしていた。それもそうである。アニメや小説にしか出てこないと思っていたシチュエーション。それが自分たちの身に起こったのだから無理もない。しかも、彼らを出迎えたのは魔術師のような姿の人間だけではなく、明らかに機械に見えるものが混ざっている。
辛亥は魔術師がつけている十字架―にしては上下逆に見えるが―と深紅のローブ、そしてロザリオ…とみていると、急に後ろから一際目立つ紫のローブを着た少女が現れた。
獅子奮迅という言葉を表したかのようなその彼女を見ながら彼らは少女の返答を待つ。そして、少し間が開いたのち、少女は叫んだ。
「異世界よりこの地に降り立ち勇者様、どうか我々をあの憎き邪神の手からお救いください!」
その瞬間、広間にいたすべての人が彼らにひざまずいた。
痛いほどの沈黙が数秒間流れる。
そして、少し躊躇しながらも墨はこの状況において至極当たり前な返答をしたのだった。
「えっと…一体誰なんですか、あなた達…」
―十分後。
少女にに連れられて移動した一行は、真っ白な部屋にいた。その部屋は、あたり一面城で包まれていて、目が痛むほどの「白」だった。人も少なかった。合わせて七人。辛亥たち、少女、黒いローブを着た謎の人物。そしてー
「申し遅れました、勇者様。私はこの国、神聖共和国ヒタチの“天皇”である、十文字晴昭と申します。」
…“天皇”だった。
「…それで、ここはどこなんです?なぜ私たちはこのようなところにいるのですか?」と、代表して墨が質問する。すると、王は答えた。
「どこにいるかも何をしてほしいかも私と娘が伝えたはずですが…しかし、細かい顛末は話していませんものね。よろしい。では話して差し上げましょう。なぜ私たちがあなた方を必要としたかを。」
王は微笑しながら語り始めたのだった。